Q. カテゴリー5eケーブルは10GBASE-Tで使える?

A. 通信できるかもしれないが、エラーが発生して遅くなる恐れがある

 「カテゴリー」は、LANケーブルの品質を表す。米国規格協会(ANSI)が標準化した「ANSI/TIA-568」、国際標準化機構(ISO)や国際電気標準会議(IEC)が策定した「ISO/IEC 11801」、日本工業規格(JIS)の「JIS X 5150」の三つの規格それぞれで、カテゴリーは規定されている。規定に細かい違いはあるが、内容として相反するものではない。

 企業ネットワークで使われるのは、「カテゴリー5」(Cat.5)「エンハンスドカテゴリー5」(Cat.5e)「カテゴリー6」(Cat.6)「オーグメンテッドカテゴリー6」(Cat.6A)「カテゴリー7」(Cat.7)である。カテゴリーに続く数字が大きいほうが品質が高く、さらに「エンハンスド」や「オーグメンテッド」と付くほうが無印より品質が高い。

 100BASE-TXや1000BASE-T、10GBASE-Tといったイーサネットの規格で、どのカテゴリーのLANケーブルを使えるかを指定している(図1)。10GBASE-Tでは、Cat.6以上のケーブルが指定されており、Cat.5e以下のケーブルは使えないことになっている。

図1●ケーブルのカテゴリーと使用できるイーサネットの関係
図1●ケーブルのカテゴリーと使用できるイーサネットの関係
ケーブルとイーサネットは、それぞれで別々に規格が決まっている。Cat.6は、1000BASE-Tでの使用を想定された規格で、10GBASE-Tの規格より早く登場していたが、ケーブル長を37m以下に制限すれば10GBASE-Tでも使える(通常は100mまで使える)。
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 Cat.5eケーブルで社内ネットワークを組んでいた企業が、ネットワーク機器を交換するタイミングで10GBASE-T対応の機器に切り替えるが、ケーブルは時間的、金銭的な制約があってそのままにするケースは十分にあり得る。ケーブルを敷設し直すまでの間、Cat.5eケーブルで10GBASE-Tを使ってしまおうと考えたくなる。しかしこれはやめたほうがよい。通信エラーが発生し、データの再送などでかえって遅くなってしまう可能性があるからだ。

▼ANSI
American National Standards Instituteの略。
▼TIA
Telecommunication Industries Associationの略。米国電気通信工業会と訳される。
▼ISO
International Organization for Standardizationの略。
▼IEC
International Electrotechnical Commissionの略。
▼JIS
Japanese Industrial Standardsの略。
▼JIS X 5150
ISO/IEC 11801を翻訳して作られたものが ベースになっていて、ほぼ同等と考えてよい。
▼Cat.5
カテゴリーの略し方は、特に決まっていないが、Cat.X(Xには数値や「5e」「6A」が入る)以外に「CAT X」「CAT-X」と略される場合が多い。いずれも「カテ」と読む。