今日、ネットワーク管理の自動化はネットワークエンジニアにとって、大きな課題の一つです。自動化を実現するための技術やソフトウエアは数多く存在します。その半面、どこから手を付ければよいのかの判断も難しくなってます。

 本連載では、これから自動化を進めることを検討しているネットワークエンジニアの皆さんに、即効性のあるネットワーク管理の自動化技術を紹介したいと思います。

管理の自動化がキーポイントに

 クラウドの浸透により、ITインフラも変化に素早く対応することが求められるようになっています。以前はサービスの提供に数日かかっても許されていたのに対し、数時間や数分での対応が必要になっています。また、負荷に応じて自動的にインフラを拡張することも必要とされるようになりました。ITインフラに機動性や柔軟性が求められるようになっています。

 しかし現状では、多くの企業のネットワークはこうした変化についていけていないのが実情です。サーバーは、仮想化して管理を自動化するのが当たり前になりました。一方ネットワークは、人がコマンドラインで物理デバイスを直接操作しているケースがいまだに多数を占めています。こうした「手作業のネットワーク管理」とは早く手を切り、管理を自動化していくべきです。

 今後はネットワークの管理を自動化することが、どのような状況にも素早く対応できるITインフラを実現するキーポイントになるでしょう。現時点では、ネットワーク管理の自動化を始めているユーザーはデータセンターが中心です。今後は、幅広いユーザーや用途にも普及が進むはずです。

怖がらないで試してみよう

 ネットワーク管理の自動化を実現するには何が重要でしょうか。自動化のための技術自体は、一通りそろいつつあります。例えば、機器の設定を制御する「Netconf」などのツール、ネットワーク機器の構成を管理する「Ansible」などのツール、クラウド環境を構築するための「OpenStack」などのツールがあります。ただ、これらを適切に使い分けるにはノウハウが必要になります。

 自動化のためのプログラミングや仮想化といった技術は、従来のネットワークエンジニアが持つスキルとはかけ離れていると感じている人は多いでしょう。そんな状況で数多くの技術が出てきているために「興味はあるけれどどこから勉強してよいのかわからない」と感じている人が多いのではないでしょうか。

 本連載の目的は、様々な自動化技術のユースケースと価値を、ネットワークエンジニアにわかりやすく解説することです。最近は、プログラミングや仮想化などを手元で簡単に試せる環境が増えてきました。ネットワーク管理の自動化を試してみたいと思うネットワークエンジニアが少しでも増えてくれればと思います。

 ネットワーク管理の自動化は、深夜作業や障害対応の時間を減らし、ネットワーク管理者の働き方の質を大きく上げられる可能性を持つ技術です。今後は、経営陣からのITシステムに対する期待に沿うためにも重要になっていきます。ぜひこの機会に理解を深めていただければと思います。