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9人の火消術し

NECを窮地から救った「ベストリカバリーマン」の技

池上 俊也=日経SYSTEMS 2017/03/15 日経SYSTEMS
出典:日経SYSTEMS 2017年1月号p.35
(記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります)
目次一覧

 NEC社内で「ベストリカバリー賞」を受賞したプロジェクトがある。同社の辻本栄二氏(パブリックビジネスユニット 主席システム主幹 兼 プロジェクト・マネジメント統括本部 主席PMO)が立て直した公共機関向けプロジェクトだ。

 同プロジェクトは、2011年5月に始まり、2013年12月にリリースした。しかし、リーマンショック後の収益悪化を背景に“受注ありき”の提案を展開。プロジェクトは混迷を極めた。

問題は「契約」「スキル」「丸投げ」

辻本栄二氏
NEC パブリックビジネスユニット 主席システム主幹 兼 プロジェクト・マネジメント統括本部 主席PMO

 大きな問題は三つあった。

 一つは契約の問題だ。プロジェクトで問題が生じた場合、すべての責任はNECにあると記述されていたのだ。「当時の担当は受注を取るのに必死で、契約内容を確認していなかった」と辻本氏は憤る。

 二つめはスキルのミスマッチである。受注を取るために、ユーザー側の運用保守を手掛ける中小ベンダーを協力会社に据えた。ところがその約50人のエンジニアは、大規模な新規開発経験がほとんどなかった。ユーザーとの信頼関係や業務知識こそあるものの、設計や実装でのスキル不足は否めなかった。

 最後はユーザー側の協力不足だ。契約問題にも絡むが、開発はほぼ丸投げ。上流工程での協力は得られず、ベンダー側の責任ばかりを追及された。

 加えて「現行踏襲」という失敗プロジェクトに必ず付く要求もあった。おそらく誰が担当しても、成功させるのは極めて困難なプロジェクトである。

 辻本氏が現場を訪れると、あまりにもお粗末な現状にあ然とした。開発が進まずに、ユーザー側は怒り心頭。中小ベンダーは逃亡寸前だった。

 なぜ開発が進まないのかと調べていくと、とんでもない事実が発覚。仕様確定は「画面確認会」を通じて行うと、契約書にあったのだ。つまり上流工程でユーザーの協力なしで作ったものを見て、ダメなら設計からやり直しである。小規模なアジャイル開発ではない。大規模なウォーターフォール型の開発だ。現行踏襲も重くのしかかり、案の定、手戻りは大量に発生していた。

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