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9人の火消し術

日本郵便の大炎上プロジェクト、火消し人は何をしたか?

池上 俊也=日経SYSTEMS 2017/03/13 日経SYSTEMS
出典:日経SYSTEMS 2017年1月号p.33
(記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります)
目次一覧
佐々木 貴司氏
日本ユニシス 金融システム第三本部長

 民営化に伴う日本郵便の大規模システム開発。ベンダー十数社が参加したプロジェクトでは、多くの現場で火を噴いていた。

 無理もない。期間が極端に短い上に、民営化に伴い業務が複雑化、民間の発注スタイルに不慣れなユーザーなど、至るところにリスクがあった。

 そんな中、渦中のプロジェクトをリカバリーした人物がいる。日本ユニシスの佐々木 貴司氏(金融システム第三本部長)だ。同社が担当したのは、業務アプリケーションの開発。プロジェクトは先行部分と後続部分から成る。このうち先行部分は納期通りの2013年夏にリリースしたものの、稼働後に後納郵便料金の誤計算や、性能不足といったトラブルに見舞われた。

 後続プロジェクトの発注先を変更する案も出たが「金融機関並みの品質を確保してほしい」と日本郵便側が要請。そこで急きょ、日本銀行やメガバンクなど金融系大規模プロジェクトの経験が豊富な佐々木氏が立て直しに入った。

ヒアリングするたびに機能追加

 「先行プロジェクトの問題は何か」。佐々木氏は後続プロジェクトの開始を停止し、先行部分の分析を始めた。するとスコープの拡大が目に付く。ユーザー権限だけで100種類以上。画面や機能がヒアリングするたびに増えていた。佐々木氏はまず、機能を再度洗い出し、スケジュールを引き直した。

 さらに問題視したのは、数百人のメンバーが、ただひたすらプログラム開発に没頭している状態だった。メンバーの報告はすべて「先週は何を作った」「これだけ進捗した」である。「目的やゴールが全く見えていない」。“出し逃げ”とも言われかねない状態に、佐々木氏は危機感を募らせた。

 そこで後続プロジェクトでの報告は、作業結果を示す指標ではなく、ゴールまであとどれくらいかを示す指標に切り替えた。具体的には約860人のメンバーからの報告を「あと何日」「残タスク」に変更。これで、ゴールまでの距離がはっきりする。

 肝心の品質問題については、主にシステムテスト以降の「超下流工程」とも呼ぶべき作業に着目した。

ゴール前で転ばない「超下流工程」
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