「ITに全く関係ない分野からITに飛び込んで活躍しているエンジニア」や「システムインテグレーター(SIer)からWebベンチャーに転職して成功したエンジニア」など、何らか“越境”を経験したエンジニアを「越境エンジニア」と名付け、1カ月に一人ずつインタビューを掲載する。今月取り上げるのは、料理を作る人と食べる人をつなぐマッチングサービス「KitchHike」を運営するキッチハイクの共同代表/最高技術責任者(CTO)である藤崎祥見(しょうけん)氏。今回は、KitchHikeのサービスの特徴や理念などを聞いた。

(聞き手は大森 敏行=日経NETWORK


前回から続く

 今後はみんなでごはんを食べる「みん食文化」を広めていきたいと思っています。今の人たちはみんなでご飯を食べたくても機会がありません。

[画像のクリックで拡大表示]

 何を食べるかというより「誰と」「どうやって」「どこで」食べるかが大切だと思っています。それをデザインするのが私たちの会社のミッションです。「おいしいものを食べるんじゃなくておいしくものを食べよう」というのが自分と山本(共同代表である山本雅也氏)が好きな言葉です。

 ここ(注:インタビューした上野の同社オフィス)も、ユーザーが使えるキッチンの一つです。夜になるとCOOKがこのキッチンに料理を作りに来て、HIKERが8人くらい集まってきてわいわい食べます。ユーザーと自分たち開発者との距離がゼロなのでフィードバックをすごくもらいますし、開発のモチベーションも上がります。

 「外食」「内食」、調理済みの食事を持ち帰る「中食(なかしょく)」に加えて、「みん食」は第4の食事の仕方だと思っています。ご近所の知らない人たちと一緒にみんなで手料理を食べる形態です。ユーザーの中には、月に14回くらい使っている人もいる。それくらい普通の選択肢になってきています。

 特定のCOOKの方が目当てで来る人もいますし、「この人がHIKERで参加するんだったら、また一緒に食べに行こうかな」という人もいます。何を食べるかよりも、むしろ誰と食べるか。そうした人の中には「料理はなんでもいい」という人もいます。