「ITに全く関係ない分野からITに飛び込んで活躍しているエンジニア」や「システムインテグレーター(SIer)からWebベンチャーに転職して成功したエンジニア」など、何らか“越境”を経験したエンジニアを「越境エンジニア」と名付け、1カ月に一人ずつインタビューを掲載する。今月取り上げるのは、ビジネスSNS「Wantedly」を提供するウォンテッドリーの最高技術責任者(CTO)である川崎禎紀氏。同社にどのようにして出会い、CTOとして何をしていきたいかを3回にわたってお送りする。今回は、ウォンテッドリーを知ったきっかけや入社の経緯を聞いた。

(聞き手は大森 敏行=日経NETWORK


前回から続く)

 2006年3月に修士過程を修了して4月にゴールドマン・サックスに入社しました。自分が配属されたのはトレーダー向けシステムを開発する部署です。債権・デリバティブという部門のシステムを作っていました。同社の世界中の拠点で使われるシステムです。

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 本社はニューヨークにあり、次に大きい拠点がロンドン。東京と香港のアジアの拠点は小さかったので、発言権は強くありませんでした。そのため、東京からグローバルの意思決定を大きく変えるのは難しい組織でした。

 システムについても同様です。アジアの拠点でしか使わないシステムは自分たちの好きにできましたが、基本的にはできるだけ同じシステムを世界中の拠点で使う方針でした。このため、海外の拠点がシステムに加えた変更が、日本のシステムに影響を及ぼすといったこともありました。