「ITに全く関係ない分野からITに飛び込んで活躍しているエンジニア」など、何らか“越境”を経験したエンジニアを「越境エンジニア」と名付け、1カ月に一人ずつインタビューを掲載する。今月取り上げるのは、一般向けの投資サービスを手掛けるFinTechベンチャーの「FOLIO」でCDO(Chief Design Officer)を務める広野萌(ひろのはじめ)氏。デザイナーの立場から様々なアイディアをFOLIOにもたらし、同社のサービス開発をリードしている。今回は、個人的な株式投資の体験からFOLIOに参画してサービス開発を始めるまでを聞いた。

(聞き手は大森 敏行=日経NETWORK


前回から続く)

 今でこそFOLIOで株式投資サービスを開発していますが、実は以前は株に対してあまりいいイメージを持っていませんでした。大学生のとき、バイオリンの師匠がスマートフォンで株の取引をしているのを見て、「株なんかやってるんですか」と言ってしまいました。そのころは、「株はうさんくさいし、難しそうだし、マネーゲームじゃないか」と思っていました。

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 「尊敬する師匠でも株とかやるんだ」と残念に思っていたら、「投資はそういうものではない。ちゃんと企業を応援して、応援の対価をもらうもの。経済を動かすための仕組みなんだよ」と教えてくれました。師匠からは「体験したほうが早いから、とりあえず口座を開設してみたら」と勧められましたが、最初は乗り気ではありませんでした。

 その後も、投資の初心者向けの本やおすすめの証券会社をメールで教えてくれたりしました。そこまでしてくれるんだったらやってみるかと思い、とりあえず証券取引用の口座を開設しました。初心者なので、最初は何の銘柄を選べばいいかもわかりませんでしたが、試しに何回か取引してみました。実際に体験してみることで、株取引の楽しさを感じることはできました。「このCMはおもしろいな。この企業の株を買ってみよう」といった株の楽しみ方もわかってきました。