「ITに全く関係ない分野からITに飛び込んで活躍しているエンジニア」や「非エンジニアながら、プログラミングを仕事に生かしている人」など、IT技術における何らかの“越境”を経験している人を「越境エンジニア」と名付け、1カ月に一人ずつインタビューを掲載する。今月取り上げるのは、ウェルスナビ 代表取締役CEOの柴山和久氏。同社はロボット(プログラム)による資産運用の自動支援サービスを提供している。柴山氏は、プログラミングを一から学び、提供したいサービスのプロトタイプを自ら作って起業した。最終回である今回は、経営者として技術やエンジニアにどう向き合うかを聞いた。

(聞き手は大森 敏行=日経NETWORK


前回から続く

 ウェルスナビは2016年1月19日にベータ版をリリースしました。ベータ版はフロントサイドがC#、バックサイドがJavaです。その前日までは、私がRubyで作ったプロトタイプをベースにしたものが動いていました。この日で私が書いたコードはすべて消えました。メンテナンスできない技術的負債になっていたためです。

[画像のクリックで拡大表示]

 プロトタイプはフロントサイドだけだったので実運用はできませんでしたが、ベータ版では運用も可能になりました。ベータ版は一般に公開するのではなく、招待制にしていました。

 C#を採用したのは、それが得意なエンジニアがたまたまいたからです。2015年9月に4~5人の創業チームができ、2016年1月にはベータ版を出しました。つまり開発期間はたった3カ月間です。そうすると、集まったメンバーがそれぞれ得意な言語で作っていくしかありません。この3カ月間では、アマゾンウェブサービス(AWS)の上に日本で初めて証券取引システム載せる開発も同時に進めていました。そのため、Javaが書けるエンジニアのリソースをフロントサイドにかけられなかったのです。