「ITに全く関係ない分野からITに飛び込んで活躍しているエンジニア」や「ITとIT以外の分野の境界を行き来しながら成果を上げているエンジニア」を「越境エンジニア」と名付け、1カ月に一人ずつインタビューを掲載する。今月取り上げるのは都元ダイスケ氏。同氏は9年前、薬剤師からITエンジニアという全く違う分野に転職した。今回は、現在所属するクラスメソッドでの仕事と転身から9年たった感想を聞いた。

(聞き手は大森 敏行=日経NETWORK


3月8日公開分から続く)

 一度はクラスメソッドからのお誘いを断りましたが、やはり入社したいという気持ちが強くなっていきました。自分は一貫してアプリケーション開発をやってきましたが、インフラについての知識があまりありませんでした。インフラについての見識も深めたいと思ったのです。

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 しかもクラウドインフラはプログラマブルなので、アプリケーションエンジニアと相性がいい。AWS(Amazon Web Services)が盛り上がり始めていたこともあり、クラウドの世界に身を投じることにしました。

 2013年1月にクラスメソッドに入社。現在まで4年間、在籍しています。クラスメソッドは社長がエンジニア出身ということもあり、とても働きやすいと感じています。

 私のクラスメソッドでの仕事は、直近1年とその前の3年に分かれます。最初の3年間は「AWSの導入コンサル」「顧客のインフラの設計構築」「クラスメソッド社内システムの業務ツール開発」の三つが主な仕事でした。

 業務ツール「クラスメソッドメンバーズポータル(CMP)」は三つの面を意識して開発していました。「社内向けの業務支援ツール」=どの顧客がどのような使い方をしているか、「顧客向けの情報提供ツール」=顧客がログインして情報を見るポータル、そして「AWSの実運用実験場」としての位置付けです。自分でAWSを使っていないと顧客に対する説得力がありません。そこで、実際にシステムを作って運用してみる経験を積むという意味がありました。

 なぜ顧客の使い方を知る必要があるのか不思議に思うかもしれません。クラスメソッドを通してAWSを使う場合には、サポートサービス料としてAWS利用料の10%をもらっています。なので、顧客がAWSをどれくらい使っているかを把握する必要があるのです。

 CMPについては、2015年3月29日にクラスメソッドが開催した技術イベント「Developers.IO 2015」で「AWSドッグフーディング」というタイトルで発表しました。自分がクラスメソッドでやってきたことの集大成のようなスライドになっています。

 直近1年間は別の仕事をしています。CMPを作っていたのはAWSコンサルティング部(現AWS事業部)にいたときですが、1年弱前に事業開発部 製品開発チームに異動し、パッケージ製品を開発しています。これまで様々な会社でアプリケーション開発に関わってきた経験が生きています。