前回は、PCで採用例の多いインテル製CPUの全般的な傾向と、ノートPCの選ぶポイントを解説した。
そもそもノートPC向けCPUは、一部の例外を除き、パッケージはBGA(ボール・グリッド・アレー)で提供される。BGAは製造工程ではんだ付けされるので、後からユーザーが変更できない。
ノートPCでCPUを選ぶシーンと言えば、メーカーのBTO(注文仕様生産)オプションとしていくつかの中から選ぶときくらいだ。ユーザーからすればノートPCのグレードを決めると、あとはメーカーが提示するオプションから選ぶだけ。買いたいPCに対するCPUの選択肢はさほどないので、CPUそのもののラインアップの中でモデル数が多くてもユーザーとしては選択が難しくない。
デスクトップPC向けCPUは、ノートPC向けCPUよりもシリーズは少ない。これも仕様がある程度固定された大手PCメーカーの製品を選ぶだけなら、CPUの選択肢が少ないのであまり悩まずに済む。
ただし、PCの形状をスタート地点として、CPU、メモリー、ストレージ構成、グラフィックスボード、その他オプションなどをかなり自由に選べるタイプの製品だと、CPUを選ぶのが難しいかもしれない。デスクトップPC向けのCPUは、ハイエンド品を除くと、ラインアップ中のモデル間の動作周波数や価格が近接しており、どれがベターなのか、価格性能比に優れているのか分かりにくいからだ。
デスクトップPC向けのCPUは、LGA(ランド・グリッド・アレー)と呼ばれるパッケージで提供されているため、ユーザーによる交換が可能だ。動作保証の問題を別にすれば、メーカー製PCであっても、技術的には交換はそれほど難しくない。
インテルのデスクトップPC向けCPUも、モバイル向けと同じルールに沿っている。ブランドは以下の通りだ。
- Xeon
- サーバーやワークステーション向けのプロセッサ
- Core i Extreme Edition
- Xeonと同じパッケージのCPU。性能を最重要視する人向けのプロセッサだ。
- Core i
- 主力のブランド。高性能モデルから低価格機向けまで幅広く展開されている。
- Pentium
- Core iシリーズよりも下のブランド。性能よりも価格を重視する人向け。
- Celeron
- Pentiumの下位モデル。価格の低さを最優先したい人向け。
ある程度の性能が欲しい人は、Celeronなんて需要があるのか?と思うかもしれないが、PCメーカーのラインアップの中にはとにかくシステム価格を下げました、という目玉商品が時折ある。そのときに使われるのがCeleronだ。
デスクトップPC向けCPUには、先のCore i Extreme Editionを含む性能重視のユーザーに向けたラインアップと、主力のCore iシリーズ以下の2系統がある。前者は後述するとして、主力のCore iシリーズ、Pentium、Celeronは同一世代なら基本的に同一パッケージだ。第6世代Coreと第7世代CoreにはLGA1151と呼ばれる形状が採用されており、モデル間で物理的互換性がある。完成品PCの場合、発熱の問題(高性能CPUほど発熱が高い傾向)があるため動作するかは別問題だが、載せ換えそのものは可能だ。