シトリックス・システムズ・ジャパンの石川智香子氏は、顧客のシステムトラブルへの緊急対応などを手掛けている。プレッシャーは大きい一方、トラブルを早期解消できたときの顧客の反応が仕事の喜びという。
緊急トラブルにも日々対応されているとのことですが、ストレスが多そうです。
意外に思われるかもしれませんが、実際はそうでもありません。
もちろん、トラブルの規模が大きいほどお客様はお困りなわけですから、プレッシャーは高まります。場合によっては怒り心頭で連絡してこられるお客様もいます。少しでも早く解決しなくては、と胃が痛むことだってあります。
でもトラブルを解決できたときのお客様の変化は、ものすごく大きいわけです。我々が問題を解決してお客様が喜んでくださることが、一番のモチベーションです。解決のためには、社内のエンジニアに無理なお願いをしながらも頑張ってもらっています。当社のエンジニアはグローバルで見てもスキルが高くて、強力にバックアップしてくれます。
問題が発生しないに越したことはないのですが、トラブルをきっかけにお客様との関係が強固になることもあります。あるお客様で、システム障害でサービスが停止してしまったことがありました。当社内のエンジニアのバックアップを受けて早期に解決したところ、元々先方が当社のサービスにあまり良い印象を持っていなかったようなのですが、それを機に関係が良好になりました。こうしたことが、TRMの仕事の醍醐味です。
実際のトラブル対応は、一筋縄ではいきません。当社が扱っている仮想化ソフトはいろいろな動作環境と影響し合いますから、OSに起因していたりハードウエアに問題があったりと、原因を突き止めるのは難しいものです。原因が複合的なこともあります。当社製品の古い不具合と、お客様側のユーザー数の増加など利用環境の変化とが組み合わさってトラブルにつながった、といったこともありました。
原因が当社製品以外の場合、テクニカルサポートとしては対応できる範囲が限られますが、TRMとしてはできる限り踏み込んで支援するように努めています。仮に新しい修正プログラムを適用すれば解決するトラブルだったとしても、お客様の環境によってはすぐに適用するのが難しいケースがある。どのように対処を進めればトラブルを抑えられるか、といったアドバイスができる存在でありたいと考えています。
支援が必要なのはトラブル発生時だけではありません。システム導入当初には緊急トラブルが起こることもありますが、時間が経つと安定していきます。安定しているときに、TRMがどんな役割を果たせるか。それがお客様の満足度に大きく影響します。ですからシステムの稼働環境が良好かどうかをチェックしたり、最適な運用方法を提案するなど、積極的な支援を心がけています。