16年間のブランクを経て再就職した、サイボウズの江原なおみ氏。広報担当として取材の調整や立ち会いをするなど、忙しい日々を送っている。仕事をする上では、過去の会社員経験だけでなく、専業主婦時代に身に付いた「忍耐力」が生きているという。

(聞き手は戸川 尚樹=ITpro編集長、編集は八木 玲子=ITpro)

この1年、お子さんたちの様子はいかがでしたか。

 生活のリズムに慣れるまでには時間がかかりました。特に小学生の次男は、帰宅しても母親がいない状況に寂しさを感じたようです。元々身体の弱い子ではないのですが、半年間に4回熱を出しました。

 彼が状況に納得する一つのきっかけになったと思うのが、子連れ出勤です。サイボウズは事前に申請すると子連れで出勤できる制度があって、春休みに一度次男を連れて出社しました。サイボウズはオフィスにハンモックやぬいぐるみが置いてあって子供にも楽しいし、「母親が会社で働くというのはどういうことか、どんな人たちとどう過ごしているのか」を肌で感じられたことが良かったみたいです。

撮影:新関 雅士、以下同じ
撮影:新関 雅士、以下同じ
[画像のクリックで拡大表示]

 ちなみに仕事を始めてから、息子たちからもらうカードのメッセージが変わったんですよ。「家のことも仕事のことも両方頑張っていてすごいね」とか。次男なんて「僕はもう寂しくないから大丈夫だよ。だから頑張ってね」と書いてくれて。これにはもう、めちゃくちゃ感動しました。子供は成長していくんだなあ、と実感しましたね。

江原さんご自身にとっては、どんな1年でしたか。

 仕事と、家事や育児との両立には苦労しました。でも、それは時間が解決してくれました。仕事を始めた頃の週末は、おかずの作り置きのために朝から晩までキッチンに立っていて子供のスポーツの応援にも行けない。という状況でしたが、だんだん手の抜きどころが分かってきました。気持ちも楽になっていきました。

 仕事は、面白くてたまりません。今は企業広報として、取材や講演の調整などを手掛けています。特に最近は働き方改革をテーマにした依頼をたくさんいただいていますので、その調整をしたり、取材の立ち会いをしたりしています。社長の青野や社員たちのいろいろな話を聞けますし、様々な業界の方と会ってお話しする機会もあります。日々、興味深い話に触れていて充実しています。

 それを、息子たちに還元できるのも喜びです。子供たちが自分の将来について考えるときに、母親である自分が狭い世界しか知らないと、アドバイスできることも限られます。息子たちからしても、「世間のことをよく知らないくせに」と感じるでしょう。