野村総合研究所(NRI)の上級SEを務める澁谷亜樹氏。入社以来、一貫して証券会社向けのITシステムの分野を歩んできた。NRI社内では、「常に高い目標を設定しながら仕事に取り組む社員」として一目を置かれる存在だ。「仕事が大好き」と笑顔で話す同氏だが、その境地に達することができた理由は。

(聞き手は戸川 尚樹=ITpro編集長、編集は小笠原種高=フリーライター)

証券会社向けのお仕事をされているのですね。

 はい。証券会社のリテール業務向けのITシステム分野でSEをしています。当社は、リテール証券のバックオフィス業務を支援する共同利用型システム「STAR-IV」を提供しており、現在およそ60社に利用していただいています。

撮影:小笠原 種高、以下同じ
撮影:小笠原 種高、以下同じ
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 私の主な役目は、STARの制度変更への対応やサービス拡充を図ることです。具体的には、STARの機能を強化するために、お客様である証券会社のIT部門の方々と普段から議論するなどして要件を固めていく仕事です。制度変更に必要な機能はもちろん、お客様のニーズを吸い上げながら、より業務を合理化するための機能は何かを考え、実現していくやりがいのある仕事です。現在はプログラマーではなく、業務設計など上流工程を担当するエンジニアということです。

 私の場合、2003年に新卒入社してから、ずっと証券会社を担当してきました。担当しているSTARは、非常に大きなシステムで、多くのお客様にご利用いただいています。STARを改善するために、SEとして企画や提案、折衝などの仕事ができて、様々なスキルを磨けるので飽きることはありません。今もですが、これまでも必死にやってきました。こうした環境は恵まれていると思っています。

大学でのご専攻は。

 情報学科でして、第一志望であるこの会社にSE職で入社することができました。入社後は、STARという証券会社にとっての基幹系システムを担当することになったわけです。

 入社1年目は、C言語やCOBOLなどを使ってプログラミングもしました。情報学科にいたので、プログラム言語に対する理解はそれなりにありましたので、比較的すんなり入れました。その後はSEとして、STARの上流工程の仕事に就き、今に至ります。

入社約15年を振り返って、思い出深い仕事は何ですか。

 私にとっての大きな節目は2回あったように思います。1つめは、入社3年目ぐらいに、所属していたチームが変わったときでした。

 それまで私を手厚くサポートしてくれていた上司や先輩が周囲にいなくなったわけです。それで、自分でいろいろなことを考えて、自分の力でやらないとまずい状況になりました。環境が変わり、慣れないこともあり、何をするにも時間がかかってしまいます。