子供を持つ働く女性にとって大切な存在といえば保育園。日本IBMの竹田千恵氏は過去、保育園探しに苦労したという。そんな彼女は今年から、女性が活躍しやすくなるような活動にも力を入れ始めた。

(聞き手は戸川 尚樹=ITpro編集長、編集は小笠原 種高=フリーライター)

竹田さんは転職を考えることはないのですか。

 今の仕事が楽しいので、特に転職を考えることはないですね。とにかく私は、働き続けたいという気持ちが強くて、一番きつかったのが、出産と育児で休職したときでした。7年ぐらい前の話です。

どのような苦労があったのですか。

 保育園の問題です。抽選に落ち続けて、なかなか保育園が決まらない。「いつ会社に戻れるんだろうか」「これからどうしようか」と、とても不安な状態が続きました。

撮影:小笠原 種高
撮影:小笠原 種高
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 区役所の窓口に出向いて何度か相談したこともあります。「もっと困っている方がいて、そちらを優先しますので、もう少し待ってください」と言われて、悲しい気持ちになる。「300人待ちです」と言われてショックを受けたこともありました。

 新しい保育園ができると、「早い者勝ち」という話を聞き、寒い中、受け付け前に並んだこともありました。先頭から2番目で待っていて、大丈夫だろうと思っていたところ、実は抽選。それで結局、落選という悲しい出来事もありました。

 本当にあの時期は苦しかった。できるだけ早く仕事に復帰したかったのですが、結局、丸1年間、休職しました。今も待機児童の問題がありますが、ワーキングマザーの皆さんの苦しみは本当によく分かります。

 保育園が決まった後も、近くの保育園に入園させたくて、3回ほど転園しました。それでも娘はすくすくと育ってくれました。子供は結構タフ、と思いました(笑)。

育児はご主人と分担されているのですか。

 昔の話になりますが、保育園の送り迎えは、分担していました。送りは主人、迎えは私。ご飯は私で、お風呂は主人、という感じでした。

 娘は既に小学生になっていますが、楽になったかというと全くそんなことはありません。今年からPTAの役員になりまして、仕事帰りに近所をパトロールしたり、学校の夏祭りなどのイベントのお手伝いをしたり、やることが沢山あります。パトロールをしてから、ご飯を作り、子供の宿題を見てから、寝かしつける。それからテレワークで仕事という生活です。

 子供は今、学童保育クラブに入っていますが、夕方6時で終わりですから、今も夜遅くまで会社で仕事をすることはできません。朝は午前9時から10時の間には出社して、午後6時半くらいには一回退社します。

 それで自宅での“ゴールデンタイム”をこなした後、自宅で深夜か早朝に仕事をしています。朝5時くらいから仕事をすることもあります。米国時間だと、ちょうどいいので、メールやテレカンで米国の担当者とやり取りすることもあります。

 そんな生活が続いて楽ではありませんが、学童や習い事の先生にも良くしていただいています。「地域で子供を育てよう」「働いているお母さんをフォローしよう」とコミュニティで生活している実感があります。友達のお母さんが、私の代わりにお迎えに行ってくれたりですとか。とにかく周囲の支えがあり、私は救われていますから、そのことには本当に感謝しています。