働く母親の姿は、子供を育てる。それはいつの時代も変わらない。アクセンチュアの小野砂知子氏は、そのことを最近実感している。

(聞き手は戸川 尚樹=ITpro編集長、編集は小笠原 種高=フリーライター)

息子さんの受験は終わったのですよね。

 はい。息子の話になりますが、英語があまり得意でなくて困った時期もあったのですが、受験期には成績がぐっとあがったことがうれしかったです。

アクセンチュア小野砂知子氏の「元気の源」である長男と一緒に撮った1枚
アクセンチュア小野砂知子氏の「元気の源」である長男と一緒に撮った1枚
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 本人ははっきりとは言わないのですが、どうやら私が自宅で電話会議をしている際、英語で会話している様子を見て、「格好いいなあ」と思ったらしいんです。「英語を勉強しなさい」といってもなかなか動かなかったのが、それから本人のやる気にスイッチが入ったみたいです。

母親の働く姿を見て、息子さんにも良い影響が出たんですね。

 そうみたいです。以前は、息子にあれこれ指示していたのですが、仕事が忙しいこともあって、「本人に任せるところは任せよう」と決意しました。そうしたら、親の背中を見て刺激を受けたみたいで、勉強に励むようになりました。

仕事で苦労していることは何ですか。

 スケジューリングです。仕事の重要なミーティングや入学式のような行事など、1カ月先くらいまで全部見越して予定を立てるようにしています。

 ただしお客様やプロジェクトメンバーの都合がありますから、私の思うようにはなりません。全てのミーティングに出られるわけではないので、その点を理解してもらいながら、メンバーに任せることはあります。

 やはりプライオリティを何にするのかが大事だと思います。H&Mジャパンの前社長だったクリスティン・エドマンさんとお話する機会があって、そこでこんな会話をしました。「仕事をしている私、母親としての私、娘としての私など、今、どの私として時間を過ごすのか。ワークライフバランスというよりは、プライオリティをどうするかよね」と。