北國銀行専務取締役の杖村修司氏とfreee代表取締役の佐々木大輔氏は、2017年2月28日に開催された「Nikkei FinTech Conference 2017」で、地元企業のIT化支援をテーマにしたセッションに登壇した。モデレータは日経FinTechの原隆編集長が務めた。

北國銀行専務取締役の杖村修司氏(左)とfreee代表取締役佐々木大輔氏
北國銀行専務取締役の杖村修司氏(左)とfreee代表取締役佐々木大輔氏
(撮影:加藤 康、以下同じ)
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地元密着型地銀とFinTechスタートアップが提携

 北國銀行は石川県を中心とした地域で金融サービスを提供している地銀。クラウド型会計ソフトを提供しているfreeeと業務提携し、取引企業における会計事務の効率化を後押しする。2017年2月にも、freeeとの協業事業として、取引企業の財務データを分析し、一定の条件になるとアラートを発信する「リアルタイム経営シグナル」の開発を発表した。

 freeeの佐々木氏は、北國銀行との取り組みについて説明した。freeeは、スモールビジネスや中小企業を主な対象に、バックオフィスの自動化などを支援をする。その中で、「よりユーザー企業に貢献できるように、踏み込んだ事業として進めているのが北國銀行との取り組みである」と語った。

 佐々木氏は、「北國銀行との協業は、地域の企業の労働生産性を上げることが目的」と業務提携のコンセプトを説明。「freeeを使うことで、北國銀行との取引企業が正しい帳簿付けを行い、PDCAをしっかり回していくことを支援できる」とした。

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 また、「北國銀行による取引企業に対する業務改善コンサルティング強化」にも役立つと言及。企業がfreeeを使って会計データを蓄積していけば、銀行側でもfreeeを通してその内容をモニタリングできるようになるという。

 freeeを使わない場合、銀行の担当者は取引企業から提出される月に一度の財務諸表によって財務状況を確認することになる。freeeで情報を共有すれば、銀行の担当者は取引企業の財務状況を、いつでもfreeeで確認できる。

 佐々木氏は、「創業支援をする際には、銀行側から企業側に『この資金の使途は何か』と質問して回答をもらうといったやり取りが発生するが、そのようなときもfreeeの画面を通してさまざまな情報が見られる」と説明。逐一質問する必要もなくなり、互いに業務効率化ができるという。

 「経営の状況が変わっても、モニタリング機能によって銀行側がすぐに帳簿の内容を確認できるので、コンサルティングがしやすくなる」(佐々木氏)というわけだ。

 このような環境を作ることは、財務状況の改善にも寄与するという。すでに北國銀行の取引企業のうち、「新たに操業する企業の大半はfreeeを導入している」と佐々木氏は実績を強調した。

 さらには会計事務所との協業も進めているという。40以上の会計事務所がfreeeの認定アドバイザーとなり、新たなビジネス、ベンチャーと地域の企業連携を行っているとする。