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脱・ザンネン社員

立場で異なる「本質」、部長・課長の考えを把握し提案を

芦屋広太=システムアナリスト/教育評論家 2017/08/10 ITpro
出典:日経コンピュータ 2017年6月22日号pp.78-81
(記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります)
目次一覧

 本質を見極めることほど難しい作業はない。様々な立場、役職の人間が関わるビジネスの現場ではなおさらだ。熟考した結果だとしても、説明を聞いてもらう相手のツボを外すと理解は得られない。ツボを正確に突けるよう、様々な階層の視点に立って考えを整理したい。

 「西部さん、クラウドファンディングの本質って何でしょうか?」

 システム企画室の岸井雄介は、自席に座っている経営企画室の西部和彦に聞いた。

 「クラウドファンディングか。ソーシャルレンディングとも呼ばれ、インターネットを使って個人が個人に資金を融通する仕組みのことだな。今度は誰と仕事をしているんだ?」

 「山中次長です。次長にクラウドファンディングのことを説明したんですけど『それは本質ではない』ってあきれられたんです」

*   *   *

 岸井雄介は35歳、西日本の地方銀行A銀行のシステム企画室の課長補佐である。西部和彦は37歳。出向していたITコンサルティング会社から最近になって復帰し、現在は課長補佐として経営企画を担当している。

 岸井は現在、クラウドファンディングの調査を担当している。銀行を介さず、インターネットを通じて資金の出し手と借り手をつなぐ仕組みだ。ITを使って高度な金融サービスを実現する「FinTech」の一例で、日本の銀行業務にも影響を及ぼすと言われている。

 クラウドファンディングを無視しても構わないのか、銀行として何らかの形で関与すべきなのか、A銀行の経営会議で話題になった。「クラウドファンディングはITを利用した資金融通の仕組みだ。ITをよく知っている人間が検討すべきだろう」。会議で頭取がこう指摘したため、情報システム部が調査を担当することに決定。同部の山中次長とシステム企画室の岸井が担当となった。

 岸井はクラウドファンディングに詳しいコンサルティング会社にヒアリングするとともに、自身でも海外や国内の情報を収集。同サービスの基礎知識やスタートアップ企業のビジネスモデルを学んで、山中次長に説明した。

*   *   *

 「岸井、クラウドファンディングの件はどうなった?海外での事例とか日本のスタートアップ企業の事例は調査できたか?」

 「次長、私の調べたところ、クラウドファンディングは銀行が貸しにくいベンチャー企業や個人の資金需要に対応するレンディング(資金貸し)ですから、それなりのニーズがあると思います」

 「だよな。それで、うちは何をすべきか、君の考えを教えてくれないか」

 「こう言ってはなんですが、所詮、小ロットの資金融通です。出し手のリターンは大きいですがリスクも大きい。与信が難しいからです。うちのような地銀大手を脅かすことはないと思います。クラウドファンディングはマイナーな資金調達手段にすぎません」

 「マイナーな資金調達?岸井はシェアリングエコノミーとかP2P(ピア・ツー・ピア)などと呼ばれるサービスの本質を、あまり理解していないようだな。改めて聞くけど、クラウドファンディングの本質って何なの?」

 「やはり銀行がカネを貸せない相手、つまり貸し倒れのリスクを読み切れないニュービジネスのための資金調達手段です。銀行にとっては一回当たりの貸出金額の小さい、手間のかかるビジネスだと思います」

 「貸出金額が小さく、手間がかかる。だから銀行には向かないという評価か。君の考えるクラウドファンディングの本質はそれか?」

 「はい、少額を貸し出すリスク査定が難しいビジネスを、比較的大きな地銀の当行が手掛けるのは意味がありません。むしろ小回りのきくスタートアップ企業の領域です。この事案は、様子を見つつ当面は静観するのが得策だと思います」

 「うーん、そうとは限らないと思うな。岸井、君は経営企画室の西部にいろいろ教えてもらっていると部長に聞いていたよ。でもこの件は西部とは相談してないな。西部なら君のような考えはしない。君の考えはレベルが低いようだ」

 「それは少し言い過ぎではないでしょうか?私自身の考えもありますよ」

 「岸井、もういい。君の言うことは本質ではない。西部に聞いて、君の何が間違っているかを理解してから説明してくれ」

 岸井は山中次長にそう言われ、どうしようか迷ったが、西部に相談することにした。それが冒頭のやり取りだ。

*   *   *

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