中国ファーウェイは、スペイン・バルセロナで開催された「Mobile World Congress 2017」で、フラグシップスマートフォンの新製品「HUAWEI P10」を発表した。日本でも現行のフラグシップ「HUAWEI P9」や、普及モデルの「HUAWEI P9 lite」は量販店やMVNO各社で売れ筋になっており、後継モデルとして期待は膨らむ(写真1)。

写真1●HUAWEI P10
写真1●HUAWEI P10
(撮影:山口 健太、以下同じ)
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 今回、発売前のHUAWEI P10の実機をバルセロナで試用する機会を得たので、どのような端末なのか一足先に紹介したい。なお機材は海外向けモデルで、日本で発売された場合には仕様が変わる可能性がある点は留意いただきたい。

iPhoneを強く意識した端末デザイン

 HUAWEI P10のスペックを見る限りでは、P9と大きく変わっていない印象を受けるかもしれない。本体サイズはすでに十分に薄型軽量で、P10では横幅が1mmほど細くなったが、厚さや重さはほぼ同じ。SoCは最新の「Kirin 960」を搭載したが、これはMate 9にも搭載したチップだ。

 だが実際にP10を手に取ってみると、本体は丸みを帯びており、iPhoneによく似ていることが分かる。特に表面がマット仕上げのシルバー色は、詳しくない人が見ればiPhoneの新機種と勘違いするのではないかと思えるほどだ(写真2)。

写真2●HUAWEI P9(左)とP10(右)の比較
写真2●HUAWEI P9(左)とP10(右)の比較
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 P10ではロゴも変わっている。本体前面の画面下にあった「HUAWEI」の文字は省かれ、iPhoneと同じくロゴは背面のみになった。サムスンが海外モデルでは本体前面に「SAMSUNG」の文字を入れていることと比べても、思い切った決断といえる(写真3)。

写真3●P10のファーウェイロゴは本体背面のみになった
写真3●P10のファーウェイロゴは本体背面のみになった
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 P10の“iPhone化”をさらに裏付けるのが、指紋センサーの位置だ。これまでの本体背面から本体前面に移動し、新たに指紋センサーを兼ねたホームボタンを搭載した。これはiPhoneやGalaxyと同じデザインだ(写真4)。

写真4●新たにホームボタンを搭載、指紋センサーも兼ねる
写真4●新たにホームボタンを搭載、指紋センサーも兼ねる
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 卓上などにスマホを置いたまま操作することを考えると、指紋センサーは本体前面にあったほうがなにかと便利だ。だが、これまでファーウェイは指紋センサーが本体背面にあることの優位性を主張し、iPhoneやGalaxyとの差異化を図ってきた。それを自ら覆し、操作感をライバル機に寄せてきた点は興味深い。

 これまでファーウェイ端末を使ってきた既存ユーザーにとっては、慣れを要する点でもある。アップルやサムスンに対抗するためにあらゆる手を尽くすという、ファーウェイの強い姿勢が感じられる設計変更だ。