iPhoneの登場によって激変した携帯電話市場。フィーチャーフォンと呼ばれる従来型の携帯電話はほぼ駆逐されてしまい、Androidを搭載するスマートフォンにも栄枯盛衰があった。そして、市場はどこへ向かうのか。
家電量販店のPOSデータに基づいて市場動向を分析する、BCNのBCN総研チーフアナリスト森 英二氏に、iPhoneが市場を席巻した要因と、今後について話を聞いた。
iPhone登場時の印象は?当時はiモードの全盛期だった。
2007年に米国で発表された当初は、スマートフォンがどこまで市場に広がるか、懐疑的だった。当時も既にスマートフォンはあった。ただしBlackberryのように物理キーを搭載している端末という認識だった。iPod touchは既に国内で販売されていたものの、iPhoneは携帯電話の高機能版というイメージで、必然的な流れだったと考えている。
ただ、ソフトバンクが「iPhone 3G」を扱い始めるまでは、あまり注目していなかったというのが正直なところだ。
2011年から2012年に国内メーカーがAndroidスマホを続々投入し始めて、ようやくiPhoneを中心とした「スマートフォン市場」が本格的に立ち上がったという認識だ。
スマートフォンのシェアとしてはどのように変化してきたのか。
iPhone 3Gのころの2008年から09年にかけては、iPhoneが9割近くを占めていた。Windows Mobileを搭載する「FOMA F1100」(富士通製)や「HTC Touch Diamond」(台湾HTC製)などの製品が一時的にシェアを獲得した時期はあったものの、シェアとしては小さかった。
そして2010年4月に、Androidを搭載した「Xperia SO-01B」(ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ製)が登場した。ところが、この時点ではiPhoneがすぐに勢いを取り戻す。
2011年から2012年前半にかけては、国産のAndroidスマホが続々と市場に登場し、勢いがあった。「LYNX 3D SH-03C」(シャープ製)や「IS03」(同)、「REGZA Phone T-01C」(富士通東芝モバイルコミュニケーションズ製)などが登場している。
この時期にiPhoneのシェアが一気に落ちているのが分かる。国産スマホが非常に強かった時期だ。2010年頃から、スマホメーカーの統廃合も始まっていて、スマートフォンに力を入れる体制作りも進んだ。iモードなど携帯電話から、スマートフォンへとシフトしていく。