iPhoneは登場以来10機種まで「キープコンセプト製品」である。ディスプレイが大型化され、プロセッサ能力も著しく進化した。しかし原型の構造は初代も最新のiPhone 7も同じものである。正面はディスプレイとホームボタン、サイドは音量ボタンと端子があるだけ。
しかし分解してみると、内部にはかつてない大きな変化があった。この大変化から、アップルのモノ作りに対する姿勢や設計哲学が透けて見える。第3回は、外見からは分からないiPhone 7の内部構造の変化を取り上げる。
変わり続けるコネクターの種類や配置
iPhone 7の内部構造を分析する前に、まずはiPhoneの外観変化を確認しておこう。
iPhoneは基本的に「キープコンセプト」の製品だが、機能アップを続けながら徐々に機器自体のシンプル化を目指しているようだ。2016年以降、Androidスマートフォンで主流になりつつあるUSB Type-Cは、端子の方向性がなく、上下を気にせずケーブルを挿せるのが特徴だ。これをアップルでは独自規格のLightningコネクターで先駆けて実現した。2012年のiPhone 5から全てのiPhone/iPadに採用されている。
図1にiPhoneのコネクターでの大きな変化を示す。上は、外部コネクター端子の変化だ。iPhone 4Sまで使われていた30ピンのDockコネクターから、iPhone 5からはLightningコネクターに切り替わった。
下は、iPhone 6sまで搭載されていたイヤホン端子が、iPhone 7で廃止された様子を示している。イヤホン端子だった場所にはスピーカーが設置され、ステレオ再生が可能になるという進化を遂げている。
上記は、比較的目立つ変化だが、小さな端子やボタン位置の変更も行われている。電源スイッチの位置が、iPhone 5sでは上端にあったのが、iPhone 6では側面に移動した。これは画面の大型化(4インチから4.7インチ)が主因であったと推測される。
イヤホン端子の位置については、iPhone 4Sで上端に配置されていたが、iPhone 5では下端へと大幅に変更されている。これはイヤホン配線が画面を覆うという使い勝手の悪さを直すためであった。
iPhoneにはまだメカニカルな機構が残っている。音楽などの音量を操作する音量UP/DOWNボタン、主電源とホールドボタン、そしてホームボタン(これはiPhone 7で機構を変えている)である。これらがこれから消滅していく可能性は十分にあるだろう。
図2は、iPhone 6sとiPhone 7のディスプレイを取り外した内部の様子である。左半分が電池、右には逆L字型に半導体チップがびっしり並んだ基板が配置されている。電池下方にはTaptic Engineのモーターが設置され、iPhone 7では一回りサイズが大きくなっていることがわかる。またイヤホン端子の廃止での変化も起こっている。