わずか10年で、iPhone(と、そのライバルであるAndroidスマートホン)は、我々の生活を一変させてしまった。

 今や人々は、このポケットサイズのコミュニケーターを肌身離さず持ち歩き、いつでもどこでも誰とでも簡単につながるようになった。日々の暮らしの変わり様は、この記事を読んでくれている人ならいちいち例を挙げるまでもないだろう。「たかが10年、されど10年」──自分などは、スマホがなかった頃の日常がもはや思い出せなくなっているほどだ。

 だが、そんなiPhoneも最初から完璧だったわけではない。最初の頃は、テキストのコピー・アンド・ペーストもできないと散々な評価だった。とりわけ、iモードに代表されるネット対応の携帯電話が普及していた日本では、「こんなものは売れない」と切り捨てる論調すらあった。だが、その後の進展は見ての通りだ。

 自分はと言えば、2007年1月のMacworld Expo基調講演の映像(図1)を見て、未来の到来に興奮こそしたものの、残念ながら、ここまでの成功は見通せなかった。先を見る目のなさに恥じ入るばかりだ。だが、1ユーザーとして、iPhoneの進化をリアルタイムで目撃できたのは貴重な体験だと思っている。

図1●2007年1月のMacworld Expoの基調講演でiPhoneを発表する故スティーブ・ジョブズCEO(当時)
図1●2007年1月のMacworld Expoの基調講演でiPhoneを発表する故スティーブ・ジョブズCEO(当時)
(出所:米アップル、以下同)
[画像のクリックで拡大表示]