横浜市(写真1)で2016年12月8日、システム障害のために住民窓口を訪れた市民にマイナンバーカード(個人番号カード)を交付できなくなるトラブルがあった。来庁した1208人がカードを受け取れず、郵送か再度来庁して受け取ることになった。

写真1●横浜市役所
写真1●横浜市役所
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 このシステム障害では、カード交付業務に必要な住民基本台帳ネットワークシステム(住基ネット)の「コミュニケーションサーバー(CS)」が正常稼働しなくなった。後に、定期的に実施しているパスワード変更作業のミスが原因だと判明した。

パスワード変更作業中に障害発生

 横浜市総務局住民情報システム課の説明によれば、住基ネットCSの運用手順書のうち、パスワード変更に関わるものだけで6ページもある。住基ネットCS内部ではアプリケーションやミドルウエアなどによって数種類のパスワードがある。このそれぞれについて「ミドルウエアを停止する」「パスワードを変更する」「ミドルウエアを再度立ち上げる」といった手順を繰り返す。

 12月7日夜に、この手順の一つでミスがあり、住基ネットCS全体が稼働しない状況に陥った。原因はすぐには判明せず、翌8日の窓口業務に影響が及んだ。

 そもそもパスワードの定期変更は必要なのか。住民情報システム課は「(住基ネット全体を運営する)地方公共団体情報システム機構(J-LIS)の規定と、市の規定の両方で、パスワードの定期変更が定められている。約373万人の市民の情報を預かっている以上、セキュリティ対策はきちんとしなければならない」と説明する。定期変更を見直す考えはないという。