「ほかの日本企業は、イスラエルに行ってほしくない」。大日本印刷でサイバーセキュリティ関連の事業を担当するABセンター 第二本部 事業開発ビジネスユニット セキュリティ市場開拓部長のアグナニ・サンジェ氏は、冗談まじりにこう話す。イスラエルのサイバーセキュリティ企業が持つ有望な技術をいち早く見つけ出し、日本市場に投入してきた同社にとって、日本企業のライバルはあまり増えてほしくないという意味だ。

大日本印刷のアグナニ・サンジェ氏
大日本印刷のアグナニ・サンジェ氏
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 サンジェ氏の言葉とは裏腹に、ライバルは増える傾向にある。日本企業がイスラエルの企業と協業する例が増えているのだ。

 例えばテリロジーは2016年11月、イスラエルのケラグループが提供するダークネットモニタリングサービス「KELAスレットインテリジェンスサービス」の日本国内での提供を開始した。また東洋テクニカは、2016年11月にセキュリティ事業を手掛ける「セキュリティ&ラボカンパニー」を立ち上げ、イスラエル企業との関係を拡大していくことを明らかにしている。

 両国の政府間でも経済協力を推進する。2017年2月1日に岸田文雄外務大臣とイスラエルのモシェ・カハロン財務大臣が、投資の自由化や促進、保護に関する協定に調印したばかりだ。