周囲をすべて撮影できる全天球カメラが、ブームの兆しを見せている。リコーイメージングが発売した「THETA(シータ)」を皮切りに、各社から多くの全天球カメラが発売されている。
全天球カメラは360度写真や映像を、手軽に撮影できるのが特徴。近年のバーチャルリアリティ(以下、VR)ブームも一役買っている。
通常のカメラは、画角が広い広角レンズを使っても、映る範囲が限られる。このため、撮影するときは必ずカメラを被写体に向けなければならない。一方、全天球カメラは周囲をすべて撮影できる。シャッターを押すと、周囲にある人や物がすべて被写体となる。ここが全天球カメラと通常のカメラで大きく違うところだ。
全天球カメラで撮影した写真や動画は、米グーグルのストリートビューのように視点を自由に変えて視聴できる。撮影者の視野では捉えられない光景まで撮影できるため、予期せぬ物や瞬間も映って面白い。全天球カメラで撮影した写真や動画は、ブログやSNS、動画サイト、Googleマップなどにも貼り付けられる。
今回は、360度カメラの草分け的製品、THETAを取り上げる。現在、スタンダードモデルの「THETA SC」と、ハイスペックモデルの「THETA S」の2機種が発売されている。スタンダードモデルのTHETA SCを試用した。
THETA SCとTHETA Sの大きな違いは、動画撮影機能だ。THETA SCは動画の撮影時間が最大5分なのに対し、THETA Sは最大25分またはファイルサイズが4GBまでの動画を撮影できる。また、THETA Sには映像出力として、HDMI出力端子がある。ライブストリーミング機能もある。
搭載レンズや有効画素数、撮影解像度、撮影枚数など、上記の動画撮影機能以外はほぼ同じだ。映像の5分間以上の長時間録画やライブストリーミング、HDMI出力端子が必要なければ、THETA SCでも十分に活用できる。重量はTHETA SCの方が23グラムも軽い。