2017年、急速に増加するAI(人工知能)を取り込んだ業務パッケージやSaaSが、実現しようとしている機能は二つある。一つは、AIを利用しないと実現できない機能の提供、もう一つがこれまでの業務パッケージやSaaSが持つ機能をAIで改善しようというものだ。

図●AIを取り込んだ業務パッケージやSaaSが実現する機能
図●AIを取り込んだ業務パッケージやSaaSが実現する機能

 AIがないと実現できない代表的な機能が、業務パッケージやSaaSに蓄積したデータを活用した「人を探す」の機能だ。日立ソリューションズの人事パッケージ「リシテア/AI分析」の「組織ストレス予測サービス」や、米ワークデイのERP(統合基幹業務システム)の機能「Retention Risk」、ワークスアプリケーションズのERP「HUE」のタレントサーチ機能などが該当する。

図●米ワークデイの「Retention Risk」の画面例。退職しそうな従業員を探し出す機能を提供する
図●米ワークデイの「Retention Risk」の画面例。退職しそうな従業員を探し出す機能を提供する
(画像提供:ワークデイ)
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 日立ソリューションズの組織ストレス予測機能は、休職の可能性のある従業員を事前に見つける機能を提供する。人事パッケージ「リシテア」に蓄積した、所属や異動履歴、勤怠記録、給与などに加え、企業が独自に実施したアンケートなどの約120種類のデータを、機械学習を利用して分析。「今後、2カ月以内に休職の可能性のある社員が所属している」といったことを管理職や産業医に知らせ、早期の対策を促す。

図●日立ソリューションズの「リシテア/AI分析」の「組織ストレス予測サービス」の画面例。産業医向けの画面
図●日立ソリューションズの「リシテア/AI分析」の「組織ストレス予測サービス」の画面例。産業医向けの画面
(画像提供●日立ソリューションズ)
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 日立ソリューションズ内で実験をしたところ、「全休職者の53%を予測することができた」(日立ソリューションズ オフィスマネージメントソリューション本部の盛井恒男 オフィスデータビジネス部長)という。「これまで人事パッケージのデータは蓄積していたものの活用範囲は限られていた。機械学習を利用することで、新たな機能を提供できるようになった」と盛井氏は話す。