2020年の東京オリンピック・パラリンピックを前に、人手不足が特に深刻化している建築・土木業界。業界内での人材獲得競争が熱を帯びる一方で、求職者には他業界への転職希望を持つ人が増えているという。マイナビ 紹介事業本部 第3営業統括部 ゼネラル領域営業部の堀江陽平部長、同営業部 販売サービス・不動産営業所 2課 八崎翔太氏に、最新事情を聞いた。

(聞き手は八木 玲子=ITpro)

建築・土木業界の技術職の求人動向は。

堀江:ここ1~2年、常に人手不足の状況です。ほぼ全ての職種で人材ニーズが高くなっています。東日本大震災の復興のための公共事業における土木系人材の需要が続いていますし、2020年の東京オリンピック・パラリンピックを前に建築系の求人も多数出されています。

 特に、建築系分野は採用意欲が旺盛です。建築の施工管理や電気工事、管工事の人材需要が強い状況です。

 世間ではAI(人工知能)が人間の仕事を奪う、といった話も聞きますが、建築・土木業界ではまだそうした動きは進んでいません。自動化が進んで求人が減った、という状況はあまり見られません。

マイナビ 紹介事業本部 第3営業統括部 ゼネラル領域営業部の堀江陽平部長(左)と、同営業部 販売サービス・不動産営業所 2課 八崎翔太氏
マイナビ 紹介事業本部 第3営業統括部 ゼネラル領域営業部の堀江陽平部長(左)と、同営業部 販売サービス・不動産営業所 2課 八崎翔太氏
[画像のクリックで拡大表示]

求職者には、どんな傾向が見られますか。

八崎:求職者に目立つのが、「後ろ向きの転職」です。今の仕事が忙しすぎて、もう少し楽な職場に変わりたい、という人が多いのです。同じ業界で労働環境を改善したいという人もいれば、他業種に転職したいという人もいます。

 労働環境改善を求める人に人気なのは、建設会社など工事を受注する側から、発注する側への転職です。工事を発注する企業側も、業者選定などを適切にするために、現場のことをよく分かっている人材を必要としています。建設会社で働いている人が、現場経験や資格などを生かして受注側に移る方法があります。

 他業種に転職する人もいます。営業職のように今までと全く異なる仕事にチャレンジする人もいますし、「技術系で手に職がつく」点が同じという理由で、ITエンジニアに転身する人もいます。IT系は未経験でも受け皿があるので、若手にはIT業界を選ぶ人も少なくありません。

 建築・土木業界内で転職によるキャリアアップを狙う人には、今の状況は有利です。多くの企業が採用を積極化させているので、下請けから元請けに移るといった転職もしやすくなっています。

 業界内で転職する際は、実務経験だけでなく資格が物をいいます。大規模物件を手掛けるには、資格が必要不可欠だからです。単に転職するだけなら実務経験があれば可能ですが、転職でステップアップしたいなら資格は必要です。