ビジネスのデジタル化に取り組む企業が増える中、ITエンジニアの活躍の場は大きく広がっている。そんな中で、IT人材が転職を成功させるには何が重要か。マイナビでITエンジニアの転職を支援する、紹介事業本部 第3営業統括本部 IT領域営業部の吉田陽子部長に聞いた。

(聞き手は八木 玲子=ITpro)


ITエンジニアの求人動向は。

 「超」が付くほどの売り手市場です。この状況はここ数年変わっておらず、2018年度も続くと見込んでいます。

 IT系なら、ありとあらゆる職種で採用意欲が高いといっても過言ではありません。代表的なのは、アプリケーション開発エンジニアやインフラ構築エンジニア、コンサルタントなどです。セキュリティ関連も多いですね。また企業間競争の主戦場がデジタル事業に移ってきているので、WebマーケティングやEC(電子商取引)関連の職種の求人も多数出ています。

 一方、以前より求人が減っている職種もあります。その一つが、COBOLエンジニア。ネットワークエンジニアも、「ネットワークのことしか分からない」という人材へのニーズは減っています。仮想化やクラウドなどの技術が広がってきているので、ネットワークも含めてインフラ系のことが全般的にできる人が求められています。

マイナビ 紹介事業本部 第3営業統括本部 IT領域営業部 吉田陽子部長
マイナビ 紹介事業本部 第3営業統括本部 IT領域営業部 吉田陽子部長
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 採用意欲は、ITベンダーだけでなくユーザー企業も旺盛です。内製化を進めているユーザー企業が少なくありませんし、デジタル事業部門の新規立ち上げが相次いでいて、そのための採用ニーズが増えています。ITベンダーやコンサルなどの出身者を、自社に呼び込もうとしています。

 こうした動きを受けて、IT人材の流動化は加速しています。元々IT業界は、他業界よりも転職回数の多さを気にしない傾向がありますが、それがさらに強まっていると感じます。7~8社の転職経験がある人もいますし、フリーランスで働いていた人が一般企業に正社員で入社するケースもあります。学歴も以前ほど問われなくなっています。

転職で有利に働くのは、どんなスキルですか。

 一般的に転職には資格が有効だといわれますが、IT分野にはあまり当てはまりません。資格よりも、実力勝負です。応募要件に資格を記載する企業もありますが、以前より減っています。

 採用側が求めるのは、技術力だけでなくコミュニケーション力。あとは考える力や提案力です。決まった仕様通りにプログラミングができる人材へのニーズはまだありますが、一歩先に進んで、顧客のニーズを把握した上で解決策を考えて提案できる人が重視されつつあります。

 ITベンダーやコンサル会社の場合、SEとしての経験や技術に加えて、プロジェクト推進力やプロジェクトマネジメント力などを求めるケースが多い。面接などでも、どんなプロジェクトにかかわったかだけでなく、「そのプロジェクトで何をしたか、自分はどんな役割を果たしたのか」をきちんと語れるかどうかが重要になります。