携帯電話のアフターサービスの世界大手である米アシュリオングループ。日本では携帯電話事業者から端末補償サービスの業務を請け負っており、急成長した。同社の今後の戦略と、国内の中古スマホ市場の行方について、2016年6月にNTTドコモからアシュリオン日本法人の中核、Asurion Technology Japan社長に転じた、永田清人氏に聞いた。
アシュリオンジャパングループのビジネス状況は。
NTTドコモとKDDI(au)の端末補償サービスの裏側を当社が担当している。いずれも今や多くのユーザーが加入するサービスだ。以前のような急成長は過ぎ、今はゆったりと伸びている状況だ。NTTドコモが提供するスマホやタブレット端末のテクニカルサポート「あんしん遠隔サポート」の裏側も当社が担っている。こちらも多くのユーザーが加入している。端末補償サービスとテクニカルサポートが、国内のアシュリオンジャパングループの売り上げの大半を占める。ただ端末補償は端末の台数以上は伸びない。
米国のアシュリオングループは、ユーザーが困っていることを改善するようなアフターサービス全般のビジネスを展開している。例えば日本でも携帯電話事業者が光回線を販売するようになり、スマホ単体ではなく、Wi-Fiルーターやテレビなど、様々な機器のコンビネーションが求められている。国内でも、そんなユーザーの困りごとをトータルでサポートするビジネスを拡大したい。
MVNO(仮想移動体通信事業者)も続々と端末補償サービスを投入し始めている。
当社も一部のMVNOの端末補償サービスの裏側を担っている。携帯電話事業者のビジネスの伸びが鈍化しているため、MVNOはとても重要な顧客だ。ただ競争が激しい分野で、安い価格で提案している同業者も多い。そんな中、当社は永続的にビジネスを進めていける強みを打ち出している。
公正取引委員会は2016年8月に出した報告書で中古端末の流通促進を求めた。
日本の中古スマートフォンの流通数は年間で200万台程度と言われる。米国の10分の1程度で、需要はあるが供給が圧倒的に不足しているのが現在の状況だ。ここに来て社会の要請として、スマホの中古市場をクルマの中古市場のようにしていきたいという流れが訪れている。公取委の報告書で今後は大きく変わるだろう。中古端末が自由に流通するようになれば、需要と供給のバランスがとれた形に落ち着く。