システムの品質を確保するために、不具合の発生リスクをできるだけ抑える。既存の業務システム開発の案件であれば当然の考え方だが、QCD(品質・コスト・納期)の順守よりビジネスの目的達成を重視する「脱QCDプロマネ」では、見直す余地がある。

リクルートテクノロジーズの石原氏
リクルートテクノロジーズの石原氏

 例えば品質を低下させるリスクの発生確率が高い作業でも、ビジネスへの効果が高ければ積極的に取り組む。品質が多少下がっても割り切るといった考え方ができる。参考にしたいのは、リクルートグループが運営するある商用サイトのシステムの開発・運用だ。リクルートテクノロジーズの石原和幸ITソリューション統括部プロジェクト推進1部兼プロジェクト推進2部シニアマネジャーらのチームが手掛けている。

 石原氏らが担当するシステムは、一般利用者の会員(以下、一般会員)と顧客企業会員とが利用する。大きな収益を上げており、システムが停止すればビジネスへの影響が大きい。このため、1年に2回程度実施する大規模な機能追加の開発では、不具合を起こさないことを重視し、他の案件を数カ月間凍結していた。

 このやり方は、深刻な不具合の抑制には効果的だった。その半面、「他の案件を止めるため、新サービスを次々に出して会員獲得を促進したいという利用部門の声には応え切れていなかった」(石原氏)。

リスクの影響範囲を見極めて複数案件の同時進行を実現
リスクの影響範囲を見極めて複数案件の同時進行を実現
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リスクが局所的な案件を同時進行

 新サービスを次々に出すというニーズに応えるため、最近になってリスクマネジメントを改めた。具体的には、リスクの影響範囲を見極めたうえで、複数案件を同時に進行できるようにした。