あるシステムで「信頼性が高い」「可用性が高い」というとき、どちらも障害に強いシステムを表している。しかし、注目している部分が異なる。

 信頼性(Reliability)とは、「障害の発生のしにくさ」のこと。具体的には、システムやサービスが使えなくなる頻度やその間隔を示す指標だ。平均故障間隔(Mean Time Between Failures)で表す。一方の可用性(Availability)とは、「システムやサービスが利用できる時間の割合」のこと。稼働率で表す。

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 両者の違いは、「1000時間故障しないで稼働できるが、故障すると1000時間使えない機器」と、「99時間稼働すると、故障して1時間使えなくなる機器」で考えるとわかりやすい。この場合、前者は信頼性が高いといえる。一度稼働し始めれば確実に1000時間は動き続けるからで、故障間隔が短い。その一方で、後者は可用性が高いといえる。稼働率が99%だからだ。ちなみに前者の稼働率は50%である。

 信頼性の低い機器でも、組み合わせることで可用性の高いシステムを作り上げることができる。1000時間稼働して1000時間使えない機器を2台用意し、それを交互に動作させるのだ。こうすればシステム全体としては常に使える状態ができるので、可用性は高くなる。このように2台以上の体制にすることを冗長化と呼ぶ。信頼性の低い機器も冗長化によって可用性の高いシステムを作れるのである。