簡単でラクにIoT(Internet of Things)を実現できる製品やサービスが続々と登場している。こうした製品・サービスを利用することで、実証実験から本格導入に進まないIoT導入の突破口になりそうだ。


 IoTシステムを開発するうえで欠かせないのが、組み込み系や通信に関する知識や技術だ。これまで企業システム開発に携わっていたITエンジニアが、IoTシステムの開発を検討する際に最も難しいと感じる部分だ。

 こうした技術のカベに悩んで、IoT化が進められなかったITエンジニアにお勧めなのが、スマートフォンを使ったIoTシステムの開発だ。スマートフォンにはセンサーや通信機能が備わっており、これを利用してIoTシステムを開発できる。

 実際にスマートフォンを活用したIoTシステムの開発を支援する製品・サービスも登場している。その1つが、ベンチャー企業のMomoが2017年12月に発表した「Palette IoT」だ。提供開始は2018年2月を予定している。

アクセサリーを使ってスマホをエッジに

 Palette IoTは最近、スマートフォンのアクセサリーとしてはやっているリング型ホルダーを利用して、スマートフォンをIoTシステムのエッジとして利用できるようにするセットだ。

 Palette IoTの構成要素は、センサー8種類とそのセンサーのデータを送信するための基板、スマートフォンに付けるキーリング型の受信装置、そしてスマートフォン向けのアプリケーションだ。

 利用者は温湿度、距離、加速度、人感など8種類のセンサーから1つを選んで基板に設置する。基板には通信装置が付属し、スマートフォンに付けた受信装置と「Wi-SUN」を利用して通信する。Wi-SUNはスマートメータの通信などに利用される通信規格だ。スマートフォンの通信装置とスマートフォン本体は、マイクロUSB で有線接続する。受信したセンサーのデータは、このケーブルを通じてスマートフォンに送られる。

スマートフォンをエッジとして利用できる「Palette IoT」
スマートフォンをエッジとして利用できる「Palette IoT」
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 スマートフォンのアプリでは、センサーから取得したデータを活用するためのアプリケーションをドラッグ・アンド・ドロップのみで開発する機能を提供する。データをグラフ形式で表示する、センサーからのデータが設定した閾値を超したら通知する、といったアプリケーションを開発できる。「センサーデータをクラウドに送って分析したい」といった場合には、スマートフォンの通信機能を使って、センサーデータをJSON形式でクラウドに送信できる。

 Palette IoTの価格はオープンで、企業向けのみの販売となる。「介護事業者の排泄の検知や、農業での利用などを想定している」とMomoの大津真人社長は説明する。