前回と今回で、深層学習(ディープラーニング)の先駆者の一人である、米セールスフォース・ドットコムでチーフサイエンティストを務めるリチャード・ソーチャー氏に話を聞く。

 自ら設立した深層学習ベンチャーのメタマインド(MetaMind)が2016年に買収され、メタマインドの技術はセールスフォースのAIプラットフォーム「Einstein」にどう活用されているのか。講演で「開発者にとってこんないい時代はない」と語った真意は何か、などを尋ねた。

米セールスフォース・ドットコムでチーフサイエンティストを務めるリチャード・ソーチャー氏
米セールスフォース・ドットコムでチーフサイエンティストを務めるリチャード・ソーチャー氏
[画像のクリックで拡大表示]

セールスフォースでの研究内容は、メタマインド時代と同じか。

 我々が加わる前から、セールスフォースにはデータサイエンティストがいて研究活動を展開していた。ただ、彼らはどちらかというと応用領域に特化していた。

 メタマインドは、応用領域の根幹となる機械学習の構成要素をもたらした。それがセールスフォースのAIの発展につながっていると思う。

様々な質問に一つのモデルで対応

 我々の野心的な目標は、「一つのモデルで様々なことを可能にする」こと。ビジュアルな形での質問に対して答えを出せるようにする、というのは一つの例だ。質問に対する回答(応答)をより正確にしていきたいし、機械翻訳や音声認識も発展させていく。そのためにAIの研究を今後も積極的に続けて、成果をどんどん応用していきたい。

中核技術が深層学習である点は変わらない?

 その通りだ。自動運転は我々の領域ではないが、自然言語処理やコンピュータビジョンへの適用は継続して研究していく。