「ITインフラテクノロジーAWARD 2017」の技術を選定した5人の審査員が、個人で注目する技術を「審査員特別賞」として紹介する。

石田裕三氏
野村総合研究所
上級アプリケーションエンジニア

Xeon Phi

サーバー機向けメニーコアプロセッサー。2016年に登場した7200シリーズは最大72コアを搭載し、Xeonプロセッサーを別途用意しなくても単独で動作する。ディープラーニングなどの機械学習の用途で注目が集まっている。2017年以降は企業向けサーバーにも搭載が進む。

新野淳一氏
Publickey 編集長/Blogger in Chief

AWS Lambda

Amazon Web Servicesにおけるサーバーレスアーキテクチャーの中核サービス。Node.jsやJava、Pythonといった各種言語のコードを実行する環境を、実行回数及び100ミリ秒単位の時間課金で提供する。既に証券、流通など多様な企業の採用実績がある。

漆原 茂氏
ウルシステムズ
代表取締役社長

PEZY Computing

独自技術によるメニーコアプロセッサーの研究開発に従事する企業。理化学研究所と共同で設置した液浸冷却スーパーコンピュータ「Shoubu(菖蒲)」が最新のスーパーコンピュータランキングの消費電力性能部門「Green500」において、3期連続で世界第1位を獲得。

森 正弥氏
楽天 執行役員
楽天技術研究所 代表

ブロックチェーン

仮想通貨の基盤技術。トランザクションデータをネットワーク上の参加者で安全に共有して管理する「分散台帳」を中核とする。特徴は、運用の分散によって悪意あるハッカーが攻撃しにくいことと、監査性が高いこと。金融系システムの作り方を変える可能性に期待が集まっている。

佐藤一郎氏
国立情報学研究所 教授
アーキテクチャ科学研究系

ポストムーア

「ムーアの法則」を実現した半導体の微細化によるプロセッサーの性能向上に限界が見えつつある中で、さらなる性能改善に貢献する一連の技術。例えばソフトウエアの改良と分散処理、主記憶装置の大容量化、GPU、FPGA、ASICなどの活用が挙げられる。

ITインフラテクノロジーAWARD 2017
審査概要

 ノミネートした約50の技術・製品・サービスのうち、ユーザー企業が2017年以降に特に注目すべきものについて、有識者5氏による合議制の審査で選出した。審査員は、野村総合研究所の石田裕三氏、ウルシステムズの漆原 茂氏、国立情報学研究所の佐藤一郎氏、ITジャーナリストの新野淳一氏、楽天の森 正弥氏の各氏。選出日は2016年11月24日。技術のノミネートは5氏のほか、日経SYSTEMS、日経NETWORK、日経クラウドファーストの各編集部が担当した。

写真撮影:中野和志