“対話”でシステムを操作 AIの普及で精度が向上

 グランプリに次ぐ2位には「カンバセーショナルUI」が選ばれた。音声やチャットといった“対話”を通じてシステムを操作するインタフェースと、実現手段であるBotなどの技術群のことだ。個人向けであれば、米Apple「iPhone」の音声アシスタント「Siri」が分かりやすい。

 カンバセーショナルUIを推したウルシステムズの漆原氏は、「インフラとしてはレイヤーが高めだが、人間とコンピュータのインタフェースを変える“次世代のインフラ”として大きな可能性を秘める」と指摘する。実際、企業でもコールセンターやIT現場などで活用が進んでいる。

 一例は、クラウドを活用したインテグレーションを手掛けるサーバーワークスである。同社は米GitHubのBotフレームワーク「Hubot」を利用してチャットBot「ブリ」を作成。さまざまな業務に活用している。

 ブリはチャットツール「Slack」に常駐し、特定の文字列に反応して決められた処理を実行する。「工数管理」機能を例に取ると、終業時刻に「@buri 集計してや~」などとチャットでメッセージを送ると、実施したタスクの一覧と所要時間を「今日の分の集計やぞ」と返答する(写真1)。また、外部の文字認識APIサービスを利用することで、簡単な雑談にも応じられるようにしてあるという。

写真1●カンバセーショナルUIのIT現場での活用例
写真1●カンバセーショナルUIのIT現場での活用例
クラウドを活用したシステム構築を手掛けるサーバーワークスの取り組み
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 ブリを開発したサーバーワークスの中村悟大氏(クラウドインテグレーション部 IoT担当)はカンバセーショナルUIの効果について、「システムに“人間味”を出しやすくなる」と説明する。ITに詳しくない利用部門もシステムに慣れやすいという。