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経営者も技術者も納得! AIブームのウソとホント

「AI弁護士」のホントの勤務実態、実は単純作業の日々

宮崎 丈史=ベイカレント・コンサルティング 2017/02/28 ITpro

 「AI詐欺」が横行する日本のIT業界。AIブームのウソとホントに斬り込む連載の第7回では、弁護士や公認会計士、医師などの専門資格業でのAI導入の動きを斬る。高度な訓練や経験を積んだ人しかできない業務がAIに置き換わる。そんな予測がまことしやかに流れるが、はたしてホントだろうか。早速、話題の「AI弁護士」などの勤務実態を見てみよう

 いわゆる「士師業」の専門資格職業の分野でも昨今、人工知能(AI)の導入・活用の機運が高まってきた。監査法人でのAI導入が話題になり、医師の画像診断や病理診断に対するAI診断サポートも普及しようとしている。米国では「AI弁護士」が取り沙汰されている。今まで資格を持った人や高度な訓練や経験を積んだ人にしかできないと思われていたことも、AIによって代替される、とメディアは喧伝している。だが本当に、高度な経験やスキルを持った人にしかできないことを、AIが代替し得るのだろうか。

 ちなみにAI弁護士とは、米国の大手法律事務所ベイカー&ホストテラー社が導入したIBM社のWatsonを活用したAIシステムのことだ。今やAIの代表例として紹介されることも多い。弁護士が担当する事件に関連する数千件の判例を収集・分析し、必要な情報を提供する機能だ(図1)。さらに、メールや書類、インタビューによる音声記録など、膨大な証拠候補となるデータの中から、訴訟を優位に進めるために必要な情報を自動で抽出する機能などの追加も検討されている。

図1●士師業におけるAI活用事例
[画像のクリックで拡大表示]

 監査法人のAIはいまだ導入事例はないが、日本でも開発や実証研究が進んでいる。導入の主目的は、監査対象となる企業の取引記録などの帳簿データを取得し、実態取引と照合する作業の自動化だ。将来的には、単価や量などが通常と異なる取引をあぶり出したり、他の企業の帳簿データと照合して差分を抽出したりすることで、不正な取引やその兆候を検出することも視野に入れている。

 医療におけるAI活用では、レントゲン装置、CT、MRI、超音波検査装置などの画像を見て診断を下す「読影」のサポートや一次診断での活用が検討されている。さらに診断サポートとして、医療論文データと患者の既往歴や検査結果を収集・分析し、病気の可能性があるパターンを抽出することで、原因となる遺伝子の特定や病気の早期発見を目指して開発が進められている。

 ざっと各業界でのAI関連の取り組みを説明した。お気づきになった読者も多いと思うが、どの事例・機能とも、人間の作業としては決して高度なスキルや経験を必要とするものでなく、単純作業の代替にすぎない。AI弁護士では膨大な判例から抽出する作業、監査法人ではデータと実態との照合作業、医療では画像の解析やデータ照合作業を自動化しているだけで、マニュアルや方法論さえあれば素人でも可能な作業だ。

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