「今でこそSIビジネスは活況だが、おそらく最後のピーク。もはや先は無い」。大手ITベンダーの経営幹部の共通認識だ。ITproのコラム「極言暴論」などで、御用聞き商売、人月商売としてのSIの問題を批判してきた私も、あと数年もすればSIビジネスの命脈は尽きるとみる。

 崖っぷちが見えてきたことで、SIビジネスに安住していたITベンダー各社も、クラウドなどを活用した新たなサービス事業の創出にようやく本気になった。そうしたITベンダーの取り組みの中で、私が注目するのが「共創」だ。新たなビジネスをユーザー企業と「共」に「創」る。つまり、異業種連携による新規事業の試みだ。大手ITベンダーは軒並み、この共創を新規事業育成のコアに据える。

 異業種連携による新規事業はオープンイノベーションの一種であり、本気で取り組めば自社だけで試みるより成功確率が高い。だが、御用聞き商売のITベンダーが「お客様との共創」ではたして新規事業に主体的に取り組めるのかなど様々な疑問、課題がある。そこで、極言暴論の“木村の眼”で、大手ITベンダーの共創の取り組みを斬る。