2015年から、宇宙に興味を持つ工業高等専門学校生(高専生)を集めた「高専スペースキャンプ」という3泊4日のセミナーが実施されています。今年は愛媛県新居浜市で開催しました。
今回、このキャンプ中に、Raspberry Piを使った模擬人工衛星「缶サット」を31機製作しました。缶サットは、空き缶サイズの人工衛星(Satellite)の意味です。上空から落として、気圧などのデータを取得する実験を行います。
今回は、初心者向けに160g缶(直径53×高さ91mm)とRaspberry Pi Zeroを組み合わせた「Zero缶サット」と、経験者向けに500g缶(直径66×高さ166.7mm)とRaspberry Pi 2を組み合わせた「Pi2缶サット」の2種類を作りました。センサーの制御には、Pythonのプログラムを使います。
Zero缶サットは、気圧、加速度、ジャイロの各センサーとカメラを搭載しています(図1)。基本的にプリント基板にセンサーなどをはんだ付けするだけで作れます。これを22機作りました。
Pi2缶サットは、より大きなプリント基板に、磁気、GPS、超音波、ほこり、紫外線、フォトトランジスタなどのセンサーやモーターなどを自由に付けられます。こちらは、4~5人の高専生でグループの観測目的に沿って作り上げます。Pi2缶サットは9機作りました。
完成後、高度約40mの係留気球から投下実験をしました(図2)。多くの機体が無事に着地し、データの取得に成功しました。
缶サットは、宇宙に関心があっても電気回路には興味がないという学生でも容易に作れるところがメリットです。