日米英の大学有志が連帯し、世界のサイバー空間の安全に貢献する――。慶応義塾大学三田キャンパスで2016年11月1日に開催された、サイバー脅威インテリジェンスに関する国際会議「Borderless Cyber Asia 2016」では、こうした大学連携のサイバー情報共有の枠組みが発足した。
発表されたのは、日米英の13大学の有志から成る国際連携組織「International Cyber Security Center of Excellence(INCS-CoE)」だ。設立目的は、世界のサイバーセキュリティに携わる人材が膝詰めで問題を議論し、協業しながらサイバー脅威を解決できる「場」を提供していくこと。さらに、各大学とのサイバーセキュリティに関する情報共有と共同研究などを通じ、セキュリティ脅威に対応していくとした。
慶応大の呼びかけで日米英のリーダー校が連携
INCS-CoEは慶応義塾大学大学院 政策・メディア研究科特任教授博士である手塚悟氏の発案・呼びかけによって発足した。手塚氏は「サイバー空間はボーダレスだ。日々巧妙化するサイバー攻撃に、一国の単体組織で対応することは不可能である。必要なのは、国境を越えたアカデミック(大学)連携だ」と話した。
INCS-CoEは「大学」という中立な立場を生かし、企業や各国政府からのサイバーセキュリティに関する要望を収集しながら、問題解決に当たっていく。当初は、サイバー脅威の情報共有を実現するために必要な政策や制度、運用基盤の構築、技術、教育などをテーマに共同研究を進める。
将来的には、IoT(インターネット・オブ・シングズ)や人工知能(AI)、重要インフラ、情報プライバシーなどに関するサイバーセキュリティ脅威の課題解決も研究・検討し、具体的な解決策やそのノウハウなど共有していく計画という。
イベント開催時の参加校は13校。具体的には、慶応義塾大学、東京大学、東京電機大学、情報セキュリティ大学院大学、米スタンフォード大学、米カリフォルニア大学バークレー校、米マサチューセッツ工科大学(MIT)、米ボルチモア大学、米ノースイースタン大学、英オックスフォード大学、英ケンブリッジ大学、英インペリアル・カレッジ・ロンドン、英ロンドン大学――である。