米ラスベガスで2017年1月3日(米国時間)、「CES 2017」の出展企業による記者会見が始まった。発表の1番手は欧米自動車大手のFiat Chrysler Automobiles(FCA)で、電気自動車のコンセプトカーを発表(写真1)。CESの「自動車ショー」化を印象づけた。展示会は1月5日から始まる。

写真1●コンセプトカー「Chrysler Portal concept」
写真1●コンセプトカー「Chrysler Portal concept」
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 3日の記者会見ではFCAの北米子会社であるFCA USが、電気自動車のコンセプトカー「Chrysler Portal concept」を発表した。米国で1982年から2001年にかけて生まれた「ミレニアム世代」をターゲットにしたファミリーカーで、自動車をデザインしたのもミレニアム世代のデザイナーだという。

 アクセルやブレーキ、ハンドルの操作を全てシステムが担う「レベル3」以上の自動運転を前提としたコンセプトカーであるため、車内の居住性やエンタテインメント性を最優先している。FCA USのエンジニアリング担当者であるAshley Edgar氏はこの車を「自宅、職場に続く『三つ目の場所』」と表現。自動車の車内が、自宅にいるときのようにコンテンツを楽しんだり、職場にいるときのように仕事をしたりできる場所になると説明した。

写真2●「Chrysler Portal concept」の車内
写真2●「Chrysler Portal concept」の車内
出典:FCA
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 CESはかつて「Consumer Electronics Show」と呼ばれていたイベントで(現在は「CES」が正式名称)、数年前まではテレビやAV機器、パソコン、スマートフォンなどが発表の目玉だった。しかし近年は、日本の家電メーカーが記者会見場や展示会場から姿を消す一方で、自動車会社による出展や記者会見が増加。FCAがコンセプトカーを発表するなど、さながら「自動車ショー」のような状況になっている。

 CESで自動車メーカーの存在感が増している背景には、自動車が「ITデバイス(端末)」になりつつある事情もありそうだ。FCAの記者会見にはコンセプトカーのユーザーエクスペリエンスをデザインしたEmilio Feliciano氏が登壇し、「自動車が様々なデバイスのハブになる」と訴えた。米Appleの故Steve Jobs氏が2001年に、「Mac」がデジタルカメラや音楽プレーヤーといったデバイスの「デジタルハブ」になると述べたことを意識した発言だ。

 CES 2017では、日産自動車のカルロス・ゴーン社長が基調講演を実施するほか、FCA以外にもトヨタ自動車やホンダ、独BMW、韓国Hyundai Motor、電気自動車のスタートアップ米Faraday Futureといった自動車メーカーが記者会見を予定している。また自動運転技術に関しても、ドイツの自動車部品メーカーのZFやイスラエルのMobileEyeが記者会見を開くほか、米NVIDIAや米Qualcommによる基調講演も自動運転関連の内容になる予定だ。

■変更履歴
当初、日付が「2016年」になっていました。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。 [2017/1/4 18:00]