製造や物流の現場ではロボットを導入して作業を自動化し、生産性を高めている。こうした動きが、オフィスワークにも波及しつつある。それが「RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)」。パソコン上にソフトウエアのロボットを立ち上げ、決まった手順の事務処理を肩代わりさせる技術だ。ロボットの開発実行環境であるRPA専用ソフトも販売されている。

 オフィスにパソコンが普及して久しいが、まだまだ非効率な手作業も残っている。「ある業務システムにデータを入力するため、別システムのデータを出力して再入力する」といった具合だ。業務システム同士を連携させれば再入力の手間はなくなるが、システム改修投資に見合う効率化メリットが期待できなければ実現しない。

 RPAは、ユーザーの操作内容を自動記録してその通りに再現する表計算ソフトのExcelが備える機能の「マクロ」に似ている。適用範囲をExcelにとどめず、Webシステムなどにも広く適用して、パソコン作業の自動化を図る(関連記事:「プログラミング不要、人の『手順』をそのまま覚え込む」)。

 RPAという言葉は数年前、欧米で生まれた。大企業で、間接部門の仕事をアウトソーシングするシェアドサービスなどの採用が終わり、さらにサービスの効率を高める手法として、このRPAに注目が集まった。

 日本では2016年後半、RPAを普及させる業界団体が立ち上がったり、コンサルティング会社がRPAを使ったオフィスワークの効率支援サービスを相次ぎ提供し始めたりしたことで、認知度が高まっている。金融大手などの導入が相次ぎ、事務処理作業を削減する成果が生まれている(関連記事:「8000時間の事務処理を削減した三菱東京UFJ銀行」)。