2016年は、IoT(インターネット・オブ・シングズ、モノのインターネット)が一層注目を浴びた年となった。IoT向け無線通信の実証実験が相次いだり、IoTプラットフォームの導入や、IoTを導入しやすくする環境整備がさらに進んだ。一方、IoTを狙ったマルウエアが現実化し、IoTのセキュリティへの意識が高まった年でもあった。
ランキングの1位は、「2000円台のPCボード『Orange Pi』は“第二のラズパイ”になれるか」が獲得した。これはPCボード「Raspberry Pi」(ラズパイ)の対抗馬で、中国のメーカーが作った「Orange Pi」を取り上げた記事だ。IoTは企業利用のフェーズに入りつつあるが、IoTの源流の一つである工作系の話題も人気のあることを示した格好だ。
ランキング2位は、「感染IoT機器は60種類以上、ビデオレコーダーの感染が多数」だった。また、5位には「ハニーポットでIoT機器への攻撃を観測、最大の感染理由はTelnetサービスの稼働」がランクインした。このように、IoTに関わる脅威が現実のものとなり、それを注意喚起する記事が注目を集めた。IoTセキュリティの記事ではこのほか、「国内外研究機関と連携しIoT機器観測網を拡大、おとりにネットワークカメラも採用」もランキングに入った。
3位にランクインしたのは「IoTの“ラストワンマイル”を巡る争い、いよいよ開幕」である。これはIoTで使われる無線技術を取り上げた記事だ。このほかIoT向け無線技術の記事は「KCCSがIoT向け通信事業に参入 LPWAで年額100円からの低料金実現」がランクインした。
ランキング4位は「リアルな『シムシティ』でセキュアIoTの大実験が始まる」が入った。これはサイバートラストが手掛けたIoT実証実験を紹介している。様々なIoT機能を都市全体に適用すると何が起こるのか、IoTの近未来を示す記事として興味を持って読まれたようだ。
このほか、IoTプラットフォームを取り上げた記事が多数ランクインした。例えば、「日立、IoT基盤のアーキテクチャーを初公開、OSS全面採用で『Lumada』を支える」「東電FPが米GE『Predix』導入、最新鋭火力の停止時間短縮で燃料費削減」「NECとGEがIoTで提携、狙いは産業版『App Store』」「ファナックが工場向けIoTプラットフォームのイベント、トヨタや日立など約200社が参加」などである。
また、「ファナックが描く未来の工場、機械同士の会話で稼働率90%に」「ファナック、FIELD systemを工場向けIoTエコシステムの中心に」「『エッジヘビーで機械の稼働率を60%から90%に』──ファナック 稲葉会長」など、IoTへエッジコンピューティングを適用するファナックの取り組みを紹介する記事が人気を集めた。