2016年にソフト開発分野でアクセス数の多い記事を眺めると、エンジニアの苦しい現場を描写した記事が上位を占める傾向が伺える。多重下請けの問題や、納期に苦しむ現場が、いまだ根強く残っている証拠だろうか。多くのエンジニアがその内容に共感を覚えたようだ。
ランキングトップとなった記事「『ふざけんじゃねえよ』、3次請けが2次請けに切れた話」は、連載「どんづまりから見上げた空 ~ 我がITサバイバル年代記」の第3回。筆者の25年前の経験談で、3次請けのソフトハウスにいた筆者の同僚が、2次請けのマネージャーによる暴言に怒った話である。同連載からは、「『頼む、死んでくれ』、二重の経歴詐称で地獄に行った派遣SEの話」(2位)「『ぶちっと何かが切れた音を聞いた』、陰険上司に手を出さず足を出した話」(5位)「『この電話は使われていません』、親身になってくれた友人がIT業界の闇に消えた話」(6位)など、軒並みランキング入りしている。
3位の「『全てのプロジェクトが予定通り総合テスト入り』、みずほ銀行の次期勘定系開発が大詰め」は、かねてからIT業界で注目集めてきた、みずほ銀行の次期勘定系の開発が、6月に統合テストまでこぎつけて予定通り終わりそうという内容だった。しかしこの後、カットオーバー予定である12月の直前に来て、数カ月遅れになることが明らかになっている。この点もアクセス数を押し上げたと見られる。
ニュース記事として20位以内のランキングに入ったものとしては、13位の「『COBOL人材減少は避けられない』、日立がCOBOLアプリのJava変換サービス開始」のみになる。COBOL人材が少なっている問題に、一つの解決策を与えるサービスだ。ソフト開発の分野で新たなサービスや製品のアクセス数が多くないのは、オープンソースや無償の製品・サービスが増えているからだろうか。
こうした中、前向きな記事として4位の「『プログラミング界のライザップ』で本当に人生が変わるのか体験してきた」に注目したい。記者が、プログラム界のライザップと呼ぶ「TECH::CAMP」の体験記を記したもの。この短期集中型のプログラミング教育サービスには、若者が自己研さんに訪れているという。2017年にはもっと前向きな話題を期待したい。