相次ぐサイバー攻撃や情報漏洩事件を受けて、情報セキュリティの知識やスキルを持つ技術者や管理者、いわゆる「セキュリティ人材」へのニーズが高まっている。だが内閣官房セキュリティセンター(NISC)や情報処理推進機構(IPA)によると、国内で必要なセキュリティ人材は約34.5万人なのに、十分なスキルを持った人材は約10.5万人しかいないという(関連記事:引っぱりだこの「セキュリティ職人」)。
このセキュリティ人材不足を解消すべく、国が採った対策の一つが、セキュリティに関する試験や資格の新設だ。ユーザー企業の部門管理者などに向けた情報処理技術者試験「情報セキュリティマネジメント試験」と、セキュリティ技術者向けの国家資格「情報処理安全確保支援士」(以下、支援士)である。
情報セキュリティマネジメント試験の第1回は2016年4月に実施された。支援士については2016年中に詳細が公表され、第1回試験は2017年4月に実施される。これらの試験・資格について、ITpro読者の関心は高かった。ランキング1位の記事は、自ら情報セキュリティマネジメント試験を受け、その体験を赤裸々につづった「事前準備ゼロで『情報セキュリティマネジメント試験』を受けてみた」だった。
支援士に関する記事「情報セキュリティスペシャリスト合格者は『情報処理安全確保支援士』試験免除へ」はランキング6位だった。セキュリティ分野全体では6位だったが、セキュリティ分野の「ニュース(速報)」カテゴリに絞ると、この記事が最も読まれた。今回紹介したベスト20の記事の多くは、「記者の眼」か「ニュース解説(News&Trend)」のカテゴリ。ランクインしたニュース記事は、この記事だけだった。
支援士関連記事としては、「『メリットが見えない』、盛り上がり欠ける情報処理安全確保支援士」もランクインしている。この記事では、主要ベンダーに対して、支援士試験の対応方針(「支援士になることを従業員に推奨するか」「維持費を負担するか」など)を聞き取り調査している。支援士の詳細が発表されて間もないことともあり、「検討中」との回答が多かった。
試験・資格関連以外では、「10の疑問を試して解明 セキュリティ大実験室」シリーズの記事もよく読まれた。同シリーズの記事10本中2本がランクインしている。13位の「ウイルス対策ソフトは無料でも十分か?」と14位の「パスワードの別送に意味はある?」だ。
この「セキュリティ大実験室」では、NTT西日本およびNTTセキュアプラットフォーム研究所の技術者の方にお願いして、「セキュリティの素朴な疑問」に関する実験を実施してもらった。ランクインした記事2本以外にも、「スマホの顔認証は正確か?」や「セキュリティワイヤーは頑丈か?」など、興味深い記事が何本もある。年末年始のお時間があるときに、ぜひ目を通していただきたい。