[ストレージ]可用性と信頼性高めデータを共有

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 ストレージは、データを保存する専用の装置。大容量のディスクドライブを複数台のサーバーで共有したり、高信頼、高性能な保存領域を利用したりできる。

 ストレージへの接続方法は、NAS接続とSAN接続がある。NAS接続は、ファイルサーバーとしてストレージを利用する形態で、ネットワークを通じて接続する。ファイル共有のプロトコルは、WindowsネットワークではSMB、Linux系ではNFSが使われる。これらのプロトコルは、あるユーザーがファイルにデータを書き込んでいるときに、他のユーザーからの書き込みを排除する排他制御などを実現できる。信頼性や性能などを除いた、論理的なしくみは個人使用のNASとあまり違いはない。

 もう1つのSAN接続は、専用の接続手段を使って1台のサーバーが1台のストレージを占有して利用する。ファイバーチャネルやiSCSIと呼ばれる接続技術を使う。サーバーに専用の外付けハードディスクを付けるイメージだ。

複数ドライブを組み合わせ

 ストレージシステムはハードディスクとSSDの集合体と、制御用のストレージコントローラが組み込まれている(図5-1)。ストレージシステム内のOSは、RAIDなどの技術を使って、複数のドライブを組み合わせて利用する。ハードディスクは低速だが大容量、SSDは高速だがビット単価が高く、容量が少ない。こうしたドライブを組み合わせて、高速なディスク領域と、低速で大容量なディスク領域を作る。また、圧縮や重複排除機能を用いて、容量の効率の高める。

図5-1●ストレージシステム
図5-1●ストレージシステム
データを格納するストレージシステムは、記録媒体としてハードディスクとSSDを使う。ハードディスクは低速だが大容量、SSDは高速だが容量が少ない。これらをストレージコントローラーが束ねる。ストレージコントローラーはRAIDや独自の可用性技術を使って、高速なSSDと大容量なハードディスクを組み合わせ、仮想的なストレージを実現する。
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 ストレージシステムでは、データ保護機能も重要である。スナップショットやクローン作成、遠隔リプリケーションなどの機能がある(図5-2)。

図5-2●データ保護
図5-2●データ保護
ストレージシステムでは、スナップショットやクローン、そして遠隔リプリケーションなどのデータ保護機能を提供する。スナップショットは、データの状態を瞬間的に保存し、復元することができる。遠隔リプリケーションは、データを遠隔地に同期する技術。
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▼NAS
Network Attached Storageの略。
▼SAN
Storage Area Networkの略。
▼SMB
Server Message Blockの略。
▼NFS
Network File Systemの略。
▼iSCSI
internet Small Computer System Interfaceの略。
▼SSD
Solid State Driveの略。フラッシュメモリーを記録媒体として利用する。
▼容量が少ない
ハードディスクは磁気ディスクなので、回転数と記録密度によって単体の容量と性能が決まる。ハードディスクの回転数は5400~1万5000rpm。SSDの性能はハードディスクの20倍以上になる。
▼スナップショット
写真のスナップショットが語源で、データの状態を瞬間的に保存する。
▼遠隔リプリケーション
データを遠隔地に同期する技術。サイト内で発生した機器障害や災害などで、データへのアクセスができなくなった場合に、代替サイトとしてアクセスを継続させる。