「営業利益率5%が見えてきた」。2016年10月27日、都内の富士通本社で開かれた経営方針説明会で、田中達也社長はこのように発言した。

富士通の田中達也代表取締役社長
富士通の田中達也代表取締役社長
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 田中氏が社長に就任してから1年と4カ月。経営方針を発表した2015年10月から約1年の、構造改革の進捗についての発言だ。

 質疑応答では「5%達成のタイミングはいつか」「増益の中身はなにか」といった質問が相次いだ。

 だが田中社長は、その詳細までは言及しなかった。同社CFO(最高財務責任者)の塚野英博 取締役執行役員専務が「2017年度はコスト削減と体質改善で増益の見通しだ」と答えるにとどまった。

 田中社長は、2015年10月に発表した経営方針の中で「営業利益率10%以上」「海外売上高比率50%以上」を掲げている。在任中の達成を目指す連結業績目標だ。

田中社長が2015年10月に発表した連結の業績目標。具体的な期限は明らかにしていないが、在任期間中に達成したい考え
田中社長が2015年10月に発表した連結の業績目標。具体的な期限は明らかにしていないが、在任期間中に達成したい考え
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 この1年間、富士通は田中社長の掲げた経営方針のもと、構造改革を加速させてきた。スマートフォン事業の分社化、PC事業の中国レノボとの統合検討、カーナビ事業の株式売却と、矢継ぎ早に手を打ち出した。こうした施策の延長線上で、本当にこれらの業績目標に手が届くのだろうか。