「御用聞き」から「提案型」の営業体制に変えるなど文化革命に挑むNEC。その進捗状況と手応えは。 新野隆社長が語る。

(聞き手は戸川 尚樹=ITpro編集長、岡田 薫=日経コンピュータ)


再建の鍵となるNECの強み。それは何でしょうか。

 国内事業に限って言うと、長年手掛けてきた通信インフラ事業で培ったハードウエアやソフトウエアの非常に高い信頼性です。SI(システム・インテグレーション)の能力の高さもそうです。システム開発については、最後まで逃げずにやり遂げることで顧客と強い関係性を築いてきました。

(撮影:村田 和聡、以下同じ)
(撮影:村田 和聡、以下同じ)
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 どちらも当社にとって競争力のコアです。ただし、これらがグローバルのビジネスに生かせるかというと、必ずしもそうはいかない。グローバル事業を強くするために、AI(人工知能)やIoT(インターネット・オブ・シングズ)プラットフォームの分野に今、力を入れているわけです。

 当社はAIやIoTの分野で、世界トップ水準の技術をいくつも持っています。それらを他の企業や研究機関、大学など様々な組織や人材と一緒に「オープンイノベーション」を進めていきます。

デンソーとオープンイノベーション

 オープンイノベーションの具体的な取り組みは既に始まっています。2016年12月にはデンソーとの協業はまさにそうです。デンソーが保持する自動車部品の最先端技術やものづくり力と、当社のAI技術やソフト開発ノウハウを組み合わせて、自動運転に関連する画期的な技術やソリューションの共同開発を進めていきます。こうした取り組みで成果を生み出し、顧客企業やパートナー企業から、「NECとコラボレーションしたい」といわれる存在になっていかねばなりません。

世界トップ水準の技術は具体的に何でしょうか。

 例えば、画像認識技術がそうです。米国国立標準技術研究所(NIST)が開催しているコンテストで、我々の画像認識技術は処理速度や正確性で2位以下を大きく引き離し、ダントツの1位です。

 実はこの技術は、元をたどれば数十年前に郵便局で使われていたものです。当時からずっと、画像の中で特徴点を見つけて素早く正確にマッチングさせる技術を磨いてきました。現在は応用範囲を顔認証や指紋認証などに広げていて、世界でナンバーワンの技術力だと自負しています。画像認識技術を活用したセキュリティ関連のソリューションも当社の強みです。