中期経営計画で「2019年3月期の売上高3兆円、営業利益1500億円」との目標を掲げるNEC。だが2016年4~9月期の業績は前年同期に比べ減収減益であり、推進中の構造改革の成果はまだ見えてこない。現状をどう捉え、どのようにかじ取りしていくのか新野隆社長に聞いた。

(聞き手は戸川 尚樹=ITpro編集長、編集は岡田 薫=日経コンピュータ)


経営状況をどのように見ていますか。

 2017年3月期は新しい中期経営計画の最初の1年です。「とにかく業績を回復させる」と意気込み、スタートを切りました。ところが上期(2016年4~9月期)については、売上高も利益も目標の数字を達成できませんでした。

 為替レートの影響など原因はいろいろありますが、国内事業の数字を伸ばすのが容易ではないことは想定していましたが、既存事業の落ち込みがひどく、それをきっちりと食い止めることができていません。その落ち込みを補うための新しい事業についても、成長のスピードがまだ遅く、もっと加速させなければなりません。

NEC 代表取締役 執行役員社長 兼 CEO (最高経営責任者)新野隆 氏
NEC 代表取締役 執行役員社長 兼 CEO (最高経営責任者)新野隆 氏
1977年4月NEC入社。2006年4月に金融ソリューション事業本部長。2008年4月、執行役員 兼 金融ソリューション事業本部長。金融分野での営業担当として、メガバンク統合の基幹システムなどを担当。2008年8月に執行役員、2010年4月に執行役員常務、2011年7月に取締役 執行役員常務 兼 CSO(最高戦略責任者)。2012年4月に代表取締役 執行役員副社長 兼 CSO 兼 CIO(最高情報責任者)。2016年4月から現職。 (撮影:村田 和聡、以下同じ)
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 とにかく私が最も危機感を持っているのが、トップラインが下がっていることです。売り上げは1Q(2016年4~6月期)が悪く、2Q(2016年7~9月期)は何とか戻せていますが、1Qのマイナス分を取り返せていないと。下期はどうかというと、まだ手応えに力強さを感じられないのが正直なところです。とにかく、中計で示した3年間で構造改革を進め、目標達成に向けて着実にステップアップしていきます。

落ち込んでいる事業は何で、それらをどのようにカバーしていくのですか。

 携帯電話の基地局設備など、通信事業者向けのハードウエア市場は明らかに冷え込んでいます。防災関連のソリューションについても、需要のピークアウトで売り上げが落ちている。宇宙関連事業では、立ち上がりに遅れが生じた案件があります。