グローバル化を急ピッチで進めるNTTデータ。2016年3月には米デルのITサービス部門を3000億円で買収、世界最大の北米市場の攻略を狙う。ITサービス国内最大手として世界でどう戦うのか。強みと課題について、NTTデータの岩本敏男社長が語る。

(聞き手は戸川 尚樹=ITpro編集長、編集は高槻 芳=日経コンピュータ)


足元の業績をどう受け止めていますか。

 2015年度までの中期経営計画で掲げていた「連結売上高1兆5000億円、EPS(1株当たり利益)200円」という目標はいずれも達成しました。計画スタート時点には25%だった海外売上高比率は30%を超えています。

 これらの成果を踏まえて2016年11月に発表した新しい中期計画では、2018年度までに連結売上高2兆円超、新規領域への投資を除いた調整後の連結営業利益は2015年度に比べて50%増となる約1500億円、という目標を設定しています。

 2016年度内に買収完了を予定している米デルのITサービス部門の売上規模は3000億弱。これを2017年度か2018年度にはフルで連結させることになります。当社の2015年度の連結売上高は約1兆6000億円なので、単純に足し算すれば、1兆9000億円には達します。

 だからこそ連結売上高は2兆円ではなくて2兆円「超」を目指そうと言っているわけです。とはいえオーガニック・グロースだけで1000億円を上乗せするのは容易ではありませんから、引き続きM&A(合併・買収)のチャンスを探っていきます。

NTTデータ 代表取締役社長 岩本敏男氏
NTTデータ 代表取締役社長 岩本敏男氏
1976年3月に東京大学工学部卒業、4月に日本電信電話公社(現NTT)入社。1991年4月にNTTデータ通信(現NTTデータ)金融システム事業本部担当部長に就く。その後、人事部部長、第一金融システム事業部長などを務めた後、2004年6月に取締役に就任。取締役執行役員金融ビジネス事業本部長、代表取締役副社長執行役員を歴任し、2012年6月より現職。(撮影:村田 和聡、以下同じ)
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 とにかく我々は、まだまだ成長しなきゃいけない。なぜ成長重視なのかというと、「Fortune 100」などに入るような大手の顧客企業から案件を受注するには、それ相応の規模が必要になるからです。独自動車大手のダイムラーやBMWから既にシステム化の仕事を数多くいただいていますが、こうした顧客企業をもっともっと増やしていきたいのです。

海外市場でのシェアはどのような状況ですか。

 国内ITサービス市場でのシェアは10%近くあります。これに対して、世界最大といえる北米市場でのシェアは0.5%ぐらいしかありません。買収するデルのITサービス部門を入れたとしても1%を少し超えるぐらいです。

 まず当面の目標としているのが2%という数字です。各国のマーケットシェアで2%に達すれば、たいていベスト10に入り、それなりに存在感を示すことができるからです。日本を除いて、現時点でシェア2%、ベスト10に入っているのは、ドイツとスペイン、イタリアの3カ国です。今後は英国、さらに市場が特に大きい米国についてはかなり力を入れて、シェアを伸ばしていく計画です。