新たな投資ファンドが筆頭株主になり、財務基盤を整えたというERP(統合基幹業務システム)専業のワークスアプリケーションズ。牧野正幸CEOは、AIを搭載したERP新製品「HUE」を武器に打倒SAP、オラクルを目指す。

(聞き手は戸川 尚樹=ITpro編集長、編集は島田 優子=日経SYSTEMS)


2017年10月に筆頭株主がACAグループに変更になり、資金調達に関する問題はクリアになったとのことです。当面の経営目標を教えてください。

 売上高の伸び率については、20%増をキープしなければなりません。ERP新製品の「HUE」を起爆剤にその数字をクリアしていきます。現状の営業状況では、その難易度は高くないと見ています。

ワークスアプリケーションズの牧野正幸CEO
ワークスアプリケーションズの牧野正幸CEO
(撮影:陶山 勉、以下同じ)
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 数字的な目標ではありませんが、「世の中の役に立てる会社にしたい」という目標は昔も今も変わりません。「当社だけの損得を考えるのではなく、顧客も含めてトータルで損か得かを考えなければいけない」。こう常々、従業員に伝えています。この方針を変えることはありません。

 そもそも当社を創業したきっかけは、「日本企業は情報システムにお金をかけすぎであり、そうした状況を改善したい」との思いでした。営業担当者やコンサルタントなどから商談に関する相談があると、当社にとってできるだけ多くの利益が出るようにというのではなく、「お客様と当社のコストについてよく考え、何が最適な選択になるのか」を突き詰め、最終判断を下しています。

売上高1000億円を目指し、欧州SAPや米オラクルといった大手ERPベンダーと伍していく。以前、こうしたお話をされていましたが、現状の売上高は500億円です。

 SAPやオラクルと伍していく、という考えは変わっていません。「売上高1000億円が必要」と話したのは、1000億円の売上高があれば十分に研究開発に投資できると考えているからです。