ワークスアプリケーションズは300億円を投じて、社運をかけたERP(統合基幹業務システム)の新製品「HUE(ヒュー)」を開発。2015年12月に提供を始めた。機械学習やクラウド、サプライチェーン管理などの機能を強化したHUEの売れ行きはどうか。牧野正幸CEO(最高経営責任者)に聞いた。

(聞き手は戸川 尚樹=ITpro編集長、編集は島田 優子=日経SYSTEMS)



300億円を投じて開発したERP「HUE」の提供を2015年12月に開始しました。販売状況はいかがですか

 2017年度(2017年6月期)のHUEの売上高は100億円を超えました。ユーザー企業数は現在50社で、滑り出しとしては順調です。

ワークスアプリケーションズの牧野正幸CEO
ワークスアプリケーションズの牧野正幸CEO
(撮影:陶山 勉、以下同じ)
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 2017年度の売上高は、HUEの貢献度が高く2016年度に比べて22%増加しました。当社の主力であるERP製品「COMPANY」の売り上げはほぼ横ばいで、こちらは保守サービスが収入源となっています。HUEへの投資は3年で回収しようという当初の計画を守るため、これからも拡販に力を入れていきます。これからHUE事業の利益も着実に出てくると思います。

HUEを導入する企業は、御社にとっての新規顧客なのですか。

 はい。3分の2は新規顧客です。残りの3分の1のお客様はCOMPANYを導入済みで、HUEにバージョンアップしたという状況です。

 新規顧客がHUEを採用する大きな理由は、サプライチェーン管理の業務を強化するためです。HUEのように、サプライチェーン管理を支援するSaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)は珍しいということもあって、引き合いが増えています。

 当社製品に対して、「サプライチェーン関連の機能を提供してほしい」というお客様の要望は以前から出ていました。これに応えるため、HUEでは複数の業種・業態向けに販売管理や調達管理などの機能を盛り込みました。

 当社はこれまで通り、HUEについてもノンカスタマイズの方針を変えません。HUEの標準機能を顧客に利用してもらいます。だからこそ、お客様が求める大事な機能については、迅速に標準の機能として開発・追加しなければなりません。そのためには、ユーザー会との情報の共有や交換を今まで以上にきっちりと進めていきます。